レモンフロストに関する情報:総括版

上記の記事を初めて投稿した際、まだまだレモンフロストの諸問題に関する情報が少なかった事から、その全ての情報を掲載しておりました。

しかしながら、現在までに相当量の情報が出揃った事により、かなり読みにくい記事となってしまっている為、現在のレモンフロストに関する総括をこの記事にします。


[腫瘍問題の露見]

2017年8月29日にGeckoboa ReptilesのJohn Scarbrough氏の投稿により、写真と共に腫瘍問題が露見します。

この時点でレモンフロストの販売を大々的に行っていたのはThe Gourmet RodentとGeckos Etc.のみとなり、大きな騒ぎとなる中2社のコメントが待たれました。


この翌日である2017年8月30日には2社よりコメントが発表されます。

  • The Gourmet Rodent(レモンフロストのリリース元)

レモンフロストに発生する腫瘍について把握しており、スーパー体において高確率で腫瘍を確認していた。

原因は単一の個体からこのモルフを固定する為に行った過度なインブリードであると考えている。


  • Geckos Etc. Steve Sykes氏(TGRが初回販売したLFを購入)

レモンフロストに発生する腫瘍について、2017年1月下旬まで情報の共有は無かった。

現在までに所有する個体に白い斑点が出たが、腫瘍に成長した個体は居ない。

2017年の繁殖プロジェクトではこの斑点を取り除く事を目標としている。


この2社が初めてレモンフロストを一般向け販売をした日付は2016年10月10日となる為、この時点でTGRは腫瘍問題を把握した上でその事実を隠し販売した事となり、Geckos Etc.は腫瘍問題を把握せずに販売した事となります。

しかしながら、John Scarbrough氏が腫瘍問題をFB上に投稿する数日前に、上記の2社はレモンフロスト一般向け販売を行っている事から、いずれにせよこの問題を把握した上で隠し販売を行っていた事は明白です。



[腫瘍問題の検証]

The Gourmet Rodent、Geckos ETC.より正式なコメントが発表され、レモンフロストの腫瘍問題は検証の段階に進み、病理医を含めた医学的な見解、ブリーダーによる検証が行われていきました。


  • 発表されたコメントの検証

現在までの情報により、TGRの初回発表は事実では無いと結論付けられます。

最も重要な検証点であった「腫瘍の原因は過度なインブリード」とする説は、John Scarbrough氏を皮切りとして、数多のブリーダーにより行われたアウトクロスにより否定されます。


現在、腫瘍の原因とされている説は

「レモンフロストは、本来レオパードゲッコーが保有しない虹色細胞を持ち、この虹色細胞が皮ふ上で腫瘍となる。」

とされます。

これらの事実が明かされていく中、2017年8月30日より現在までに、TGR社は一切のコメントを発表していません。


又、Geckos Etc.のコメントにあった「腫瘍に成長した個体はいない」とした話も、2017年12月1日に同社よりレモンフロストの病理解剖に関する投稿がなされ、その中で腫瘍が発生した8匹の個体を安楽死させたとある事から否定されます。


  • 腫瘍の特性

John Scarbrough氏、Geckos Etc.の2組の依頼により、腫瘍を形成した複数のレモンフロストが病理解剖に出されることで、この腫瘍の特性は明らかになりました。

"腫瘍形成のロジック"

レモンフロストのみで保有が確認されている色素細胞である「虹色細胞」が、まず皮ふ上で「色素細胞腫」という腫瘍を形成します。

この皮ふ上の腫瘍は全身に転移する悪性腫瘍であり、転移先の内臓では攻撃性の高い「肉芽腫」を形成します。

成熟に応じて、約95%(有病率)の個体が何らかの形で腫瘍を形成すると考えられています。


"腫瘍の特筆点"

初期段階で生じる虹色細胞による色素細胞腫は、爬虫類全体では珍しい診断結果ではありません。

しかしながら、腫瘍が先天性で遺伝する疑いがある性質は非常に珍しいことであり、レモンフロストに発症する色素細胞腫は通常と異なる性質を持ちます。※1

又、腫瘍切除の手術ではマージン(腫瘍を囲む正常な細胞)が必要とされ、これまで病理解剖に出された個体では十分なマージンが確保出来ず完全な切除は行えない事、レモンフロストそのものが原因である虹色細胞を保有している事から、外科的な治療による根治は不可能であると考えられています。


※1 通常の色素細胞腫は、腫瘍化した際に細胞が未分化の状態に戻り、結果として色素細胞が保有する結晶を失う場合が殆どであるが、レモンフロストに発生する色素細胞腫は細胞の全てが結晶を保有し続ける。



[腫瘍の進行度]

多くのレモンフロストが作出される中、月齢と腫瘍の進行度にはかなりのバラつきがあります。

しかしながら、腫瘍の大小に関わらず発生した時点でレオパードゲッコーの命を脅かします。

例えば上の写真の個体は、赤丸で囲った部分が白い斑点が色素細胞腫となります。

冒頭の個体と比較すれば腫瘍の隆起は殆どなく、非常に軽度であるように思えますが、皮ふ上にどのような大きさであれ腫瘍が形成された段階で内臓への転移が始まる可能性があります。

実際にFB上のレモンフロストに関する情報が集まるグループにおいて

「皮ふ上で殆ど腫瘍を確認出来なかったが突然死し、解剖した結果腸に大きな腫瘍があった」

といった投稿がなされています。

又、かなり少ない事例ではありますが、皮ふ上の腫瘍が破裂するケースも報告されています。

ここまで悪化する個体は珍しく、私が確認したのは4体です。



[レモンフロストの特性]

レモンフロストは優性遺伝をし、スーパー体を持つベースモルフです。

レオパードゲッコーは本来「虹色細胞」を持たず、その為に虹色細胞腫は発生し得ません。

しかし、レモンフロストは虹色細胞を発生させる突然変異です。

この虹色細胞が偏光下で青白く輝くことで特有の発色をし、虹彩を白くします。

この虹色細胞は特殊な性質を持ち、高確率で腫瘍を発生させます。発生した腫瘍はまず皮ふ上に形成され、転移し、内臓で攻撃性の強い悪性の腫瘍を形成後、その個体を死に至らしめます。



[各ブリーダーのスタンス]

  • The Gourmet Rodent

レモンフロストにおける様々な検証がなされる中、最初のコメント以降は本件について全く触れず口を閉ざしたままです。

世界で初めて誕生したレモンフロストの♀の死亡時期・理由が明らかにされていない点から、インブリードとは関係なく最初から腫瘍が出ていたのではないか等の憶測が飛び交う中、無言を貫いている為に真実はわかりません。

現在ではレモンフロストの販売は行っておりませんが、これまでに購入した飼育者に対して腫瘍発生時のケア等は行われていません。


  • Geckos Etc. - Steve Sykes氏

レモンフロストにより、腫瘍が引き起こされるという点を認めています。

単純なカラーモルフとして美しくしていくのではなく、どうしたら腫瘍が出ないかという点においてブリードを行うと明言しています。

現在HP上ではレモンフロストの販売は行っておりませんが、各地の即売会では通常通り販売を行っている事から、どうにも二枚舌感は否めません。

購入した飼育者に対して腫瘍発生時の補償が行われております。対象は隆起する程大きな腫瘍を形成した個体に限ります。


  • GeckoBoa Reptiles - John Scarbrough氏

レモンフロストにより、腫瘍が引き起こされると明言しています。

腫瘍が発生しないレモンフロストを作出する過程で生じる、「安楽死以外の選択肢がない腫瘍を持つ個体をどうするのか?」という倫理的な観点より、ブリードから完全に撤退しています。

保有していたレモンフロストを、腫瘍研究の為に大学に提供しています。

元より販売は行っていません。


  • BMT Reptiles&Exotics

上記の3社を除き、本件に関してハッキリとコメントを出した珍しいブリーダーです。

当初、TGRの発表を支持し原因はインブリードであると考え、腫瘍が発生している個体であっても繁殖に使用し、アウトクロスを行っていました。

現在では腫瘍の原因はレモンフロストそのもにあると認め、今シーズンは一切の販売を行わない事を表明した上で、命を軽視したブリードは行わないと明言しています。



[レモンフロストを取り巻く現状]

本モルフは現在、大きく意見が二分しているような状態です。

極端に分類すると

「あまりに美しいモルフであることから、どうにかして腫瘍問題を取り除いてブリードを継続したいと考える人」

「明らかに致死性があり、エニグマのような障害持ちのモルフと同等に扱うのは危険で、即刻ブリードを中止すべきとする人」

の二つの意見がぶつかっています。

どちらの意見においても、単純なカラーモルフとして扱うのは危険で、改善が必要という点では一致しています。

病理医による医学的診断からも、腫瘍発生個体を親として使う事は避けるべきであり、その後も腫瘍発生率が高い場合の繁殖は推奨されないと明記されています。


  • 飼育継続を目指すブリーダーによる見解

この項では、ブリーダーからの見解を紹介していきます。

以下の情報は確固たる証拠は無く、各ブリーダーによる検証段階となります。今後のレモンフロストのブリードの方向性を決めるに当たり手助けになればと思います。

"レモンフロストの危険な交配例"

  1. タンジェリン及びスーパーハイポタンジェリンとの交配
  2. レモンフロストとしての特徴を強く引き出す交配

「何らかの形で、ノーマルと比較して色素量が多く濃い個体」の腫瘍発生率が高いと、複数のブリーダーから見解を得ています。

1のようにレモンフロストが入っていない状態から既に色味が濃い個体や、2のようにレモンフロストの特徴であるベタ塗りしたような白を際立たせていくような選別交配は極めて危険で、なるべく色素量が少なくなるように交配していく事が安全としています。

又、本項に関しては下記の別記事にて詳細に言及していきます。


[最後に]

レオパを飼育するに辺り、ブリードというのは大きな魅力であると考えます。

♂が発情しない…♀の気が強い…産んだと思ったら無精卵…そんな思い通りにはいかない中、ようやく採れた有精卵。

今か今かと待ちわびて、一ヶ月以上後に孵化するベビーの喜びは何事にも変え難いです。


私たちが彼らと生活を共にするに辺り、命であるという事は忘れてはいけないと常に思います。

非常にコレクション性が高く、カラーバリエーションが豊富なレオパにおいて、いかに多くの種類を所有し、どれだけ多くの知識を持つことが一種のステータスとなっている現実があります。

「大量の知識を持っていても、有事の際に病院の一つにもいけない倫理観で彼らと向き合う飼育者」

「初めての飼育で何も知らないが、少し気になる事があればすぐに病院に連れて行ける飼育者」

レオパに必要とされるのは後者の飼育者であるはずです。


これはレモンフロストにおいても同じく、有事の際に適切な処置が取れるのであれば問題はなく、ただ飼育・ブリードをしているという点で糾弾されるべきではありません。

私はレモンフロストが嫌いなのではなく、こういった諸問題をうやむやに、説明義務も果たさないままに金儲けに走るブリーダーが嫌いであるだけという事をここに明言しておきます。


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