ラインの呼称と認知 - ボールド分割用

上記の記事容量が大きくなり過ぎてしまい、一部の環境において読み込みの不具合を確認しました。 

記事容量を軽くする為、ボールドのグループに含まれるラインについては、本記事に分割して解説を行います。

尚、最終更新日及び更新ログは親記事である「ラインの呼称と認知」に準じます。  


R2 ボールドストライプ/R2 Bold Stripe

R2 Reptilesより出典 - 2010年の個体

作出者:R2 Reptiles - Robin and Russ Strucksi氏 / 不明

ボールドのグループに含まれるラインです。

本ラインに関する情報は殆ど見つけられませんでした。

かろうじて残っていたHPによると、R2 Bold Stripeの一部は本家公認の形でH.I.S.Sによっても販売が行われていたようです。(委託の形式であったのか、H.I.S.Sによる繁殖個体であったかは不明です。)

又、Golden Gate GeckosによるGGG line Bold Stripeの作出の際にも用いられたラインです。

本記事の最終更新日までに純粋な血統の現存確認は出来ませんでした。

以下、R2 ReptilesによるH.I.S.Sでも販売を行っていた事が確認出来る記述
"if you are interested in an R2 bold stripes, R2 crosses and HISS line stripes please contact kelli @ HISS"

エクストリームボールド/Extreme Bold

Morph Revolutionより出典 - 2017年の個体(PacHerpによる販売個体)

PacHerp (Pacific Herpetoculture) - Brittney Gougeon氏 / 不明

ボールドのグループに含まれるラインです。

Extreme BoldはHalloween Maskとその他多くのBoldを用いて作出されています。

本ラインはPacHerpにより選別が行われたラインでありますが、二世代、三世代と選別交配が行われた結果ではなく、同社の保有していたPure Halloween Maskの♂個体と、その子世代(使用された♀個体はBoldであり、Halloween Maskではありません。)を掛け戻し続けたラインであると記録されています。

既に本家が廃業している点に加え、廃業直前にリリースされたラインであり市場流通数が少ない事から、純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。

念の為に記載しますが、"エクストリーム"という呼称は海外ブリーダーにより特に美しい特定の個体に対して用いられる事の多い表記です。

その為、ライン名を示す場合の"Extreme Bold"と、特定の個体を示す場合の"Extreme Bold"が存在し、呼称の被りが発生しています。

Source1:Extreme Boldについて


The Gecko Galleryライン ラベンダーボールド/The Gecko Gallery line Lavender Bold

The Gecko Galleryより出典 - 2012年の個体

作出者:The Gecko Gallery - Jesse McCain氏 / 不明

ボールドのグループに含まれるラインです。

The Gecko Gallery line Lavender Boldはボールドとして有名になったラインではなく、ラベンダー表現に注目が集まったラインです。

The Gecko Galleryより出典 - 2015年のBold/Lavender/Red Stripe cross Hyper Xanthic Mack Snowの個体

本家The Gecko Galleryによりエクリプス、トレンパーアルビノ、ベルアルビノ、マックスノー、ストーンウォッシュ、ハイパーザンティック、ファンキージャングルベル、レッドストライプが組み込まれた個体を確認する事が出来ます。

その事から、意図せず上記のベースモルフやラインを含んでいる可能性を留意する必要があります。

既に本家が廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。


GGGライン ボールドストライプ/GGG line Bold Stripe

Golden Gate Geckosより出典 - 2010年の個体

作出者:Golden Gate Geckos - Marcia McGuiness氏 / 不明

ボールドのグループに含まれるラインです。

Golden Gate Geckosより出典 - 2014年の解説画像

GGGライン ボールドストライプはR2 Bold StripeとGolden Gate Geckosが保有していたBold Stripeを用いて作出されたラインです。

既に本家が廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。

Source1:GGG line Bold Stripeについて


ゾロバンディット/Zorro Bandit

Designer Geckosより出典 - 2012年の "Zorro"

Designer Geckos - Ray Roehner氏 / 2012年

ボールドのグループに含まれるラインです。

Designer GeckosのRay Roehner氏の所有するBanditの中で、特に美しい個体である"Zorro"と名付けられたメス個体がオリジナルとなります。

作出者であるRay Roehner氏は"Zorro"の子供達を"Zorro Bandit"と名付け、市場へ流通させて行きました。

ゾロバンディットはラインと言うよりはブランド血統に近いものでしたが、用いられたバンディットがPureであったかが定かでない点や、以降に派生プロジェクトが存在する点から、特定のブリーダーによる特定の血統を示すという意味でラインとして扱います。

Designer Geckosより出典 - 2013年の"Zorro"(右)

オリジナル個体を見る限りでは外見的定義についても「バンディットと比較し、○○という特徴を持つからゾロバンディット」と明言出来るような特徴差は無く、Designer Geckosより「ゾロバンディットの名前で出荷された個体がゾロバンディット」として流通している程度の認識で問題ありません。

既に本家が廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。

以下、Designer Geckosによる"Zorro"についての解説
"Zorro: An incredible gecko, Zorro is perhaps the most brilliantly colored and most boldly marked Bandit we have ever seen, and we are thrilled to have this amazingly beautiful male in our collection. Zorro is being bred to our very best 5 star Bandit females, and will produce the best Bandits in the world for years to come."

ゾロマンダリンバンディット/Zorro Mandarin Bandit

Designer Geckosより出典 - 2015年の個体

Designer Geckos - Ray Roehner氏 / 不明

ボールドのグループに含まれるラインです。

ゾロマンダリンバンディットは、Designer Geckosによるラインであるゾロバンディットとマンダリンタンジェリンを用いて作出されたラインです。

本家により構成内容や表現についての定義がハッキリとしていますが、本ラインはあくまでラインでありコンボモルフではありません。

構成要素から表現の再現を行った場合、呼称は「タンジェリンボールド」等となり、ゾロマンダリンバンディットとはなりません。

既に本家が廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。

以下、Designer Geckosによる解説
We've been working on a cross with our bold Zorro Bandit line and our Mandarin Tangs. While not a lot is known about Bandit genetics yet, these hets should produce Bandits with golden orange colors and bold markings.
Here is a male and female from this project that we will breed next year. They have nice lavender and bold Zorro markings. The male on the right is, Zorro father/Mandarin line mother and the little female on the left is from Lucky mother/Zorro line and Mandarin father.
We hope this pairing next year will produce some pretty cool geckos. We're hoping to pop out a few more females like this one. This is definitely the male we will use....he is exactly what we were looking for.

ハロウィンマスク/Halloween Mask

Albey's "Too cool" Reptilesより出典 - オリジナルの個体

作出者:Albey's "Too cool" Reptiles - Albey Scholl氏 / 1997年

ボールドのグループに含まれるラインです。

ハロウィンマスクは1997年のThe National Reptile Breeders ExpoにてRon Tremper氏が"Halloween Mask"の個体名で販売した一匹のメスを始まりとし、Albey's "Too cool" Reptilesの選別交配により表現を固定したラインです。

既に本家が廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。

Source1:ハロウィンマスクについて1

Source2:ハロウィンマスクについて2

以下、Albey's "Too cool" ReptilesによるHalloween Maskの経緯
"I purchased this Female from Ron at The National Reptile Breeders Expo in 1997.
At the time she was the only one of her kind. In 1998 I bred her to a Hypo Tangerine Male, hoping to bring out some orange coloration."

バンディット/Bandit

LopardGecko.comより出典

作出者:LeopardGecko.com - Ron Tremper氏 / 1995年

ボールドのグループに含まれるラインです。

現在、本ラインについては認知の混乱が広がっており注意が必要です。

バンディットとは本来Ron Tremper氏により作成されたラインの呼称でありましたが、近年では外見的特徴に対する呼称となりつつあり、血統的定義が曖昧な状態です。

同氏の最新の著書においても「3つのアルビノと組み合わせる事で、それぞれのアルビノバンディットを作出出来る。」との記載がなされており、必ずしも純粋な血統である必要はないという事が伺えます。

鼻に横一線の模様が入り、髭のように見えるのが大きな特徴の一つであり、血統よりも外見的特徴を重視した"Zorro Bandit"という派生血統も存在します。

本来であればこの名称を使用するには、純粋な血統である必要があると考えるのが自然ですが、前述したキャロットテールやサングローのように、バンディットの定義も外見的特徴に対する呼称となり、血統的な定義は失われていく可能性もあります。

これらの事情から「血統背景からバンディットと表記され、表現が伴わない個体」と「外見的特徴からバンディットと表記され、血統的背景を無視した個体」等が乱立している為、混沌とした状況です。

その為、現時点では自家繁殖個体の表記に悩んだ際、ひとまず「ボールド」としておく方が無難であると考えます。

以下、Ron Tremper氏による最新の著書での解説
"This morph※ has the richest concentration of black pigment as adults than any other morph, which is eye cathing when contrasted with the cream body color."
"Albino Bandits: You can make Bandits in each of the three albino lines."
※morphと記述されますが、正しくはLine Bredです。

豹紋堂's TUGスノーボールド プロジェクト/豹紋堂's TUGSnow Bold Project

 豹紋堂より出典 - 年の個体

作出者:豹紋堂 - 中川 翔太氏 / 2019年

ボールドのグループに含まれるラインで、TUGスノー(GEMスノー)が含まれます。

ポッシブルヘテロエクリプスである事が判明しています。

豹紋堂's TUGスノーボールド プロジェクトは、中川氏が取り組む多くのボールドプロジェクトの内の一つです。

呼称は暫定的な仮称であり、今後変化する可能性があります。

 豹紋堂より出典 - 年の個体

本プロジェクトは、TCBFによるTUGスノーワイルドラインクロス、Ron Tremper氏によるスーパージャイアントバンディット hetエクリプス、Leopard Gecko Madnessによるバンディット、Geckos ETC.によるバンディットを用いて選別交配が行われたラインです。

選別交配の過程でスーパージャイアントが取り込まれた影響からか、大型のオス個体が散見されます。

 豹紋堂より出典 - 年の個体

本種に存在するスノー系のベースモルフは、いずれも成長の過程で黄色化しやすいという課題を抱えています。

又、ボールド表現についても、ベビー期にみせるメリハリのあるハッキリとした表現が成長と共に失われやすいという課題を抱えます。

豹紋堂's TUGスノーボールド プロジェクトはこの二つの課題について、選別交配によって解決を見せようとしているラインであり、特徴の一つと言えます。


ファイアボールド/Firebold

Carlo Maia氏より出典 - 2014年の個体

作出者:Carlo Maia氏 / 不明

ボールドのグループに含まれるラインです。

作出者であるCarlo Maia氏により、FireboldとはTangerine Bold Stripe Projectであると明記されています。

Monsoon Reptilesより出展 - 2011年のBandit x Electric Projectの個体

Fireboldは、Monsoon ReptilesによるBandit x Electric Projectのオス個体からスタートしました。

Carlo Maia氏はこの個体にAfghan Tangerine, Redstripe, Hyper Xanthic, その他多くのTangerineを加えながらFireboldを練り上げていきます。

その後、Fireboldは2013年にGeckoboaのJohn Scarbrough氏へとプロジェクトが引き継がれ、同氏の所有していたTangerine Bold(Gecko Genetics and Bandit line)と交配が進められていきます。

Geckoboaより出展 - 2018年の個体

ボールドのグループに含まれるラインの多くは、ベビー期にみせるメリハリのあるハッキリとした表現が成長と共に失われやすいという課題を抱えます。

作出者のCarlo Maia氏もフルアダルトにおいても表現が残る事を重要視しており、現在はGeckoboa により成長後にも表現を維持したFireboldが作出されています。

余談ではありますが、本ラインは本家が廃業する前にプロジェクトの引継ぎを行った珍しい経緯を持つラインです。

本家が廃業したラインの扱いについては議論が多い中、後継者を用意するという形でプロジェクトの維持・進行について解決をみせた事は、個人的には他のラインにおいても活用されるべき手法であると考えます。

Source1:Fireboldについて

Source2:Fireboldの元となったBandit x Electric Project


ベンガルプロジェクト/Bengal Project

Bold & Bright Geckosより出典

作出者:Bold & Bright Geckos - Rudy Aguin氏 / 2011~2012年頃

ボールドのグループに含まれるラインです。

多くの個体がポッシブルヘテロトレンパーアルビノ・エクリプスである事が判明しています。

作出者であるBold & Bright Geckosにより、ベンガルプロジェクトとはBold Tangerine projectであると明記されています。

本ラインはBlood, Extreme Bold, Gecko Genetics Tangerine※, Electric Tangerine, Fireboldとその他いくつかのラインを用いて選別交配が行われたラインであると2016年時点では解説されます。

尚、2020年時点では構成要素についての解説が削除されており、上記の構成要素以外が加えられている可能性も考えられます。

呼称の由来は古くにハイイエローに用いられる事のあった"Tiger"という呼称に関連付けるものです。

当初は”Jungle Bengal”という呼称でありましたが、"Bengal Project"へと呼称が変更されました。

※原文ではGecko Genetics Tangerine (aka Mandarin)と記載されており、構成要素は殆ど変わらないものの厳密にはこの二つのラインの作者は別である為、どちらのラインを用いたかは不明です。今回はMandarin Tangerineの構成要素であるGecko Genetics Tangerineを優先して記載しています。

Source1:Bengal Projectについて

以下、Bold & Bright Geckosによる2016年の解説
JUNGLE BENGALS
Our bold tangerine project of four seasons. We named this project so to honor the traditional "Tiger" label used in the hobby to describe geckos expressing tangerine and bold markings. These exhibit all the traits that we cherish, including high contrast, bold markings, bright colors, as well as unique head markings, and body pattern. The genetics include Blood Tangerine, Extreme Bolds, Gecko Genetics Tangerine (aka Mandarin), Electric Tangerine, Firebold, and a sprinkle of a couple more ingredients.

ボールドゴールドプロジェクト/Bold Gold Project

Geckoboaより出典 - 2018年の個体

作出者:GeckoBoa - John Scarbrough氏 / 不明

ボールドのグループに含まれるラインです。

多くの個体がポッシブルヘテロトレンパーアルビノである事が判明しています。

作出者であるGeckoBoaにより、ボールドゴールドプロジェクトとはTangerine Boldであると明記されています。


ボールドストライプ/Bold Stripe

Geckos Etc. Herpetocultureより出典

ボールドのグループに含まれる、特定の表現に対しての総称です。

ラインではありませんが、日本国内ではGeckos Etc. Herpetocultureにより販売される個体が盛んに取引されている事から本項を設けています。

上の写真の通り、背中にストライプ状につながったピグメントを表現します。

LeopardGecko.comより出典 - 2001年のStriped Phaseの個体

古くは"Striped Phase"の呼称で同様の表現の個体が流通しました。

細かく紐解いて考えるのであれば、現在は血統的定義が失われ表現のみに対する呼称となったいくつかのラインと同じく、ボールドストライプについても作出者が存在するのかも知れません。

2001年時点のRon Tremper氏のHP上で、既に$100~$200という安価な値段で多く販売されている事からも、もしオリジナルのラインが存在するとしてもかなり古いラインであると考えられます。

現時点ではその情報が発見出来なかった為、この模索については一度保留します。いずれにせよ、現在では表現に対する呼称であり、血統的な定義は考慮されません。


モナークプロジェクト/Monarch Project

Geckoboaより出典 - 2023年の個体
作出者:GeckoBoa - John Scarbrough氏 / 不明

ボールドのグループに含まれるラインです。

現時点で公開される個体を見る限りでは、ヘテロトレンパーアルビノである事が伺えます。

このプロジェクトに関する情報については、作出者のGeckoBoaにより2023年の後半に発表されるとされます。


以上、ボールドについて