管理人の飼育個体(Tremper Albino) - 撮影:Masa
世界中で販売されるレオパードゲッコーには、様々な表記が与えられます。
例えば
「トレンパーアルビノ」という表記は、t+アルビノのベースモルフの呼称です。
「ブレイジングブリザード」という表記は、トレンパーアルビノとブリザードのコンボモルフの呼称です。
「タンジェリン」という表記は、オレンジ色の表現に対する総称です。
「ブラッド」という表記は、JMG Reptileによるタンジェリンのラインの呼称です。
主にこれら4つのパターンに分類される呼称が混ざり合い、レオパードゲッコーの表記は完成します。
本記事ではこれらの中でも最も発展している
「ラインの呼称」
を中心に解説し、ラインを理解する上で必要になる一部の「表現に対する総称」についても解説を行っていきます。
尚、ベースモルフの呼称については下記記事にて解説を行っています。
まず、これら二つの呼称はモルフとは異なります。
『ライン』や『表現に対する総称』の全てには、多因子遺伝の形質を持つ要素が関わっています。
分かりやすく言えば表現の遺伝性が不確実であり、ベースモルフのようにメンデルの法則に従って計算する事は出来ないという事です。
実際にラインを繁殖に用いてみると、産まれた子供へ親の表現が上手く引き継がれず、表記について頭を悩ませるという機会は珍しくありません。
このような『ライン』や『表現に対する総称』を、確実な遺伝性を持つ『ベースモルフ』と同様に捉える事は非常に危険です。
本種はライン発展の速度が著しい事からも、現在国内で出版されている書籍の多くには不足や誤りがある状態です。
本記事は、国内外で一定数の流通が確認出来たライン及び表現の記載と、認知の誤りを正す事を目的としています。
その為、一部の内容は商業ベースにおける販売業者への配慮が行われませんが、多くの飼育者が本種のラインを正しく認知する事を望みます。
又、本記事における『ライン』とは、GeckoBoaのJohn Scarbrough氏による
『ライン名はマーケティングの為のものですが、これらはレオパードゲッコーの特定の血統を表すものです。』
という定義に従い、「表現」ではなく「血統」を重要視するものとします。
その為、学術用語における『ライン』とは定義が異なりますのでご注意下さい。
本記事の目的は正しい認知を広げる事にあり内容はフリーですが、商業利用はお控えください。
以下、下記の内容を前提とした関連記事になります。
・多因子遺伝と表記について※現在校正中
[はじめに]
前述の通り、ラインの全ては特定のブリーダーによる特定の血統を示します。
例えば「ブラッド」とはその表記で販売されていたから「ブラッド」になるのでは無く、作出者であるJMG Reptileによる純粋な血統の「ブラッド」であるから「ブラッド」になるのです。
ハッキリと言ってしまえば、血統の証明が出来ない「ブラッド」は、血統ではなく表現に対する総称である「タンジェリン」と表記するべきです。
これは全てのラインにおいて言える事であり、ラインの呼称を使用する上で最も重要な事は血統です。
以下で紹介するライン名が表記に含まれる個体は、実際に国内外の市場で多く流通しています。
一方で、その血統の証明が出来る個体はごく僅かしか存在しないのが実情です。
今回の記事を通してそれぞれのラインの成り立ちや現状を知り、いかに"Pure"な個体を入手する事が難しいかを理解する事で、自身がライン名の冠されたレオパに求める"何か"が『純血性』なのか『美しい表現』なのか『派手な名前』なのか。
そういった部分への問題提起となれば幸いです。
本記事は最終更新日までの情報を取りまとめた見解であり、本種のラインは膨大な量が存在している事から記事内容は未完です。
情報の追加、誤りがあった際には、該当箇所の更新を随時行っていきます。
尚、作出者情報に併記される西暦はプロジェクトスタートの年であり、発表年ではありません。
又、2020年6月より本記事に加筆し続けた結果、記事容量が大きくなり過ぎた為に一部環境において画像の読み込みに不具合が起こるようになりました。
曖昧さ回避の為に一つの記事の中で全ての解説を行いたかったのですが、やむなく記事を分割しています。
各解説項目にも分割記事のリンクを設けておりますが、上記リンクにて関連記事全てが表示されます。
[多因子遺伝する表現]
●アプター/A.P.T.O.R.
LeopardGecko.comより出典 - 2005年の個体
作出者:LeopardGecko.com - Ron Tremper / 2000年
体色と模様に影響を与えるラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
A.P.T.O.R.とはAlbino Patternless Tremper ORangeの略称です。
アプターはRon Tremper氏によるラインであるSuper Tangerine Albinoを2000年から選別交配し、2004年に派生する形で作出されたラインです。
本質的にはキャロットヘッド、キャロットテール、ハイポタンジェリン、パターンレス、トレンパーアルビノを組み合わせた表現であり、ブリザードやマーフィーパターンレスを用いずにハッチ時からパターンレスの表現を示す事が特徴であると解説されます。
現在では並行ラインであるラプターの血統的な定義が失われる中で、アプターの定義についても徐々に曖昧になりつつあります。
当初はエクリプスを表現した場合にラプター、表現しなかった場合はアプターと呼称が呼び分けられました。
以下、Ron Tremper氏による解説
"November 2004 - After four years of development........
Introducing the A.P.T.O.R. = a Carrot-head, Carrot-tail, Hypo Tangerine, Patternless, Tremper Albino in both normal and Giant size. A.P.T.O.R.s have the regularly pigmented albino eye.
This new patternless gene is totally separate from the "leucistic" and blizzard lines, and therefore, will combine genetically with all other known morphs. Notice that it lacks any banded pattern so often seen in all hypo variations, which have been derived from the "Florida" strain. The A.P.T.O.R. does not carry the gene to make the banded body pattern. It hatches 90-100% patternless (see above photo) and often carries the gene for reverse stripe. Any pattern seen is in the form of small light-colored, mid-dorsal, spots, circles or faint lines, which are often overtaken by the tangerine during the first 8 months of growth."
●Albey'sラインブレッドスノー/Albey's Line Bred Snow
Albey's "Too cool" Reptilesより出典 - 2003年の個体
作出者:Albey's "Too cool" Reptiles - Albey Scholl氏 / 1998年
体色に影響を与えるラインで、黄色色素を減退させる効果があります。
マックスノーやジェムスノーのような単一のベースモルフでは無く、ラインとしてのスノーです。
Albey'sラインブレッドスノーは、A1 Reptilesによるスノーを用いて1998年にスタートしたラインです。
多因子遺伝の形質をとる事から良質な表現をした個体の量産が難しく、マックスノーとの販売競争に敗れ衰退していきました。
一時は市場から姿を消しましたが、当時の個体を所有するImpeccable Geckoによりブリードが再開され、僅かながら再流通しています。
同氏により、Albey's Line Bred Snowには顕性遺伝の形質を持つ新しいスノーが含まれる可能性(Albey Snow)も示唆されています。
しかしながら、この可能性については他のスノーの混入によるものであるとする説もあり、今後の展開については冷静に見定める必要があります。
既に本家は廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。
Source1:繁殖規模縮小についての記述(Line Bred Snow'sの項)
Source2:Albey's Line Bred Snow及びAlbey Snowについて
◆エメリン/Emerine
LeopardGecko.comより出典 - 2005年の個体
作出者:LeopardGecko.com - Ron Tremper / 2004年
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
体色と模様に変化が加わった個体に対する呼称で、緑色~黄緑色を表現します。
エメリンとは本来Ron Tremper氏により作成されたラインの呼称でしたが、現在では外見的特徴に対する呼称であり、血統的定義は無視されます。
当初Ron Tremper氏は緑色を発色する個体群をエメラルド/Emeraldと呼称し、それらとタンジェリンを組み合わせたラインを「エメリン/Emerine」と定義していました。
同氏がエメラルドを用いて作成し、発表したラインは以下の通りです。
- Emerine = emerald and tangerine predominate.
- Lavender Emerine = emerald, tangerine and lavender on the body
- Emerald Rainbow = emerald, tangerine, yellow, lavender and black on the body
- Lime Emerald = light green dominates the body
上記のライン作出に際して、Eclipse, Tremper Albino, Super Giantが用いられたと記録されています。
その事から、意図せず上記のベースモルフやラインを含む可能性があります。
現在ではエメラルドという呼称は廃れ、エメリン以外の他3つのラインについても根付きませんでした。
リリース当初の解説ではエメラルドは独立したベースモルフであると紹介されましたが、その後すぐに多因子遺伝の形質をとるラインであると情報は修正されています。
LeopardGecko.comより出典 - 2009年のEXTREME EMERINEの個体
又、エメリンにトレンパーアルビノを組み合わせた場合、エクストリームエメリン/Extreme Emerineと呼称されます。
しかしながら、エメリンの血統的な定義が失われる中で、エクストリームエメリンの定義についても徐々に曖昧になりつつあります。
尚、各ブリーダーの元で発展していったエメリンのグループに含まれるラインについては、血統的な定義が重要視されます。
以下、Ron Tremper氏による解説
"Discovering the gene mutation for green on the body in 2004 gave birth to our "Emerald Line" Project. Taking the original Emeralds, as depicted in my big book in 2005, and mixing in the raptor/eclipse and giant genetics, we have now completed our 3rd generation of selective breedings. To make some of the most gorgeous geckos I have ever produced, I bred my brightest designer tangerines into this new line. Combining these Emerald and Tangerine colors has created an exciting new color morph called, the "EMERINE"."
・エメリンのグループに含まれるライン
【クラウンG/Clown G、グリーンタンジェリン/G&T、サイクスエメリン/Sykes Emerine、G プロジェクト/G Project、スキットルズ/Skittles、パシフィックグリーン/Pacific Green】
本記事の容量が大きくなり過ぎてしまい、一部の環境において読み込みの不具合を確認しました。
記事容量を軽くする為、上記のエメリンのグループに含まれるラインについては、以下記事に分割して解説を行っています。
以上、エメリンについて
●カッパープロジェクト/Copper Project
DC Geckosより出典 - 2015年の"Copper"
作出者:DC Geckos - Dave Rich氏 / 2013年
体色と模様に影響を与えるラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
カッパーは"Copper"と名付けられたオスと、SHTCT(スーパーハイポタンジェリンキャロットテール)のメスを用いて2013年にスタートしたラインです。
以前は"Copper Tangerine Tremper Project"と呼称されましたが、現在では"Copper Project"と呼称が変更されています。
本家DC Geckosにより様々なベースモルフやラインとの交配が進められており、販売個体からエクリプス、W&Y、ブラックナイトを含む個体が確認出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフやラインを含む可能性があります。
DC Geckosより出典 - 2020年の"Copper"の孫娘個体
初期に販売された個体はCopperの意味の通り、銅色のような茶色い個体が多く存在しました。
しかしながら、2020年時点での販売個体や紹介個体を見る限りでは、上の写真のように茶色味が無い方向への交配を進めている様子が伺えます。
◆キャロットテール/Carrot Tail
作出者:Ray Hine Reptiles - Ray Hine氏 / 1990年代後半
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
体色と模様に変化が加わった個体に対する呼称で、尾にオレンジ色を表現します。
キャロットテールとは本来Ray Hine氏により作成されたラインの呼称でありましたが、現在では外見的特徴に対する呼称であり、血統的定義は無視されます。
尾にオレンジ色を発色する個体群をキャロットテールと呼びます。
一部のベースモルフには作用しないようで、キャロットテールにする事が出来ない場合もあります。
本ラインはRay Hine氏が1990年代後半に入手した、野生捕獲のハイポメラニスティック個体を中心とするグループから派生する形で作出されました。
前述の通り、現在では血統的定義が無視される事から下記は余談となりますが、Ray Hine氏によりリリースされたキャロットテールは、並行ラインであるRay Hine's Hypoと同じく、高い遺伝率を誇った事が当時の議論から伺えます。
当時はRay Hine Line Hypo Carrot TailやHine's CT等と呼ばれており、同時期に存在した血縁関係の無い尾にオレンジを表現する個体群とは区別された様子が確認出来ます。
又、本ラインの黎明期における外見的特徴の定義は「尾にオレンジ色を発色し、且つピグメントが存在しない」であった事が伺えますが、現在ではピグメントの有無については呼称に影響を与えません。
◆キャロットヘッド/Carrot-Head
LeopardGecko.comより出典 - 2003年のCARROT-HEAD TANGERINE BANDED ALBINOの個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
体色と模様に変化が加わった個体に対する呼称で、頭部にオレンジの模様を表現します。
キャロットヘッドは少なくとも2003年には使用されていた古い呼称です。
現在ではキャロットヘッドの定義を満たす個体の表記に必ずしも加えられている訳ではなく、徐々に廃れつつある呼称です。
当時はこのような表現の個体は珍しく呼び分ける為に与えられた呼称でありましたが、本種全体の選別交配が進む中である種ありきたりな表現となりつつあり、わざわざ表記に加えるブリーダーが減った背景があります。
対称的な表現として、頭部に模様が無い事を示す"Baldy(ボールディ)"という呼称も存在しますが、この呼称についても現在ではあまり使用されません。
●クリームシクル/Cremesicle
JMG Reptilesより出典 - 2009年の個体
作出者:JMG Reptile - Jeff Galewood Sr. and Jeff Galewood Jr.親子 / 不明
体色と模様に影響を与えるラインで、マックスノーが含まれます。
現在、本ラインについては誤った認知が広がっており注意が必要です。
スーパーハイポタンジェリンとマックスノーとキャロットテールのコンボモルフであるような解説が行われる場合がありますが、これは誤りです。
正確には、それらを用いて本家JMG Reptilesにより選別交配が行われたラインであり、この名称を使用するには純粋なクリームシクルの血統である必要があります。
クリームシクルは適度に白を発色し、完全な黄色にはならず、レモンイエローの表現をする事が特徴の一つであると解説されます。
しかしながら、実際に販売される個体を見る限りでは「○○という特徴を持つからクリームシクル」と明言出来るような特徴差は無く、JMG Reptilesより「クリームシクルの名前で出荷された個体がクリームシクル」として流通している程度の認識で問題ありません。
以下、JMG Reptilesによる最初の解説
"Cremesicles
This new project is one of the most unique Co-dominant snow projects that we are working with. Not only are the cremesicles a unique morph they are very beautiful looking and they are something that is very new compared to all of the color morphs of leopard geckos out their. What makes a cremesicle? Cremesicles are top notch four and five star quality high contrast, white, bright yellow, and orange super hypo Co-dominant snows. They usually can't be made by just one or two generations of breeding Co-dominant snows to super hypos. All of the cremesicles that we are selling in 2007 are third generation super hypo X hypo/ super hypo Co-dominant snows. We produced over one hundred and twenty second generation super hypo co-dominant snows in 2006. We kept back the twenty best female super hypo Co-dominant snows that stayed pretty and we bred them to different looking high contrast super hypo males. All of the 2006 second generation female cremesicles that were selected for this project didn't turn dark, grey, dirty yellow, or any other un attractive colors after breeding. Cremesicles always keep a decent amount of white and they never turn plain yellow. Some adult cremesicles will have a light lemon yellow tint over their body but they never completely yellow out. Cremesicles as they age will some times display some outrageous color transformations, a lot of them will have a faded orange coloration on their sides and lavender saddles that are bordered by intense bright white and then later on their lavender saddles can turn a a bright yelllow green color. All of them seem to develop differently but they all turn out to be stunning. If you breed a cremesicle to a super hypo you are going to produce some average looking super hypo Co-dominant snows as well. This will help keep the price up on cremesicles for a while, and the quality of cremesicles can always be improved on over the years. It will be very interesting to see the improvements made on cremesicles in the next few years."
●ゴールデンキャンディケイン/Golden Candy Cane
Designer Geckosより出典 - 2014年の個体
作出者:Designer Geckos - Ray Roehner氏 / 不明
体色と模様に影響を与えるラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
ゴールデンキャンディケインは、Designer Geckosによるラインであるゾロバンディットとマンダリンタンジェリンを用いて作出されたゾロマンダリンバンディットに、更にトレンパーアルビノを加えたラインです。
既に本家は廃業しており、本記事の最終更新日までに純粋な血統の現存確認は出来ませんでした。
●サイクスレインボー/Sykes Rainbow
Geckos Etc. Herpetocultureより出典 - 2012年の個体(Tremper Albinoを含む)
作出者:Geckos Etc. Herpetoculture - Steve Sykes氏 / 2005年
体色と模様に影響を与えるラインです。
多くの個体がポッシブルヘテロエクリプスである事が判明しています。
Geckos Etc. Herpetocultureより出典 - 2015年の個体(Tremper Albinoを含まない)
現在流通するサイクスレインボーは主にトレンパーアルビノを含みますが、トレンパーアルビノを含まない個体も存在します。
2012年に初めて販売された1枚目の写真の個体(この時点では”Rainbow Project"と表記され、後に"Sykes Rainbow"と呼称が変更されます。)の説明欄にて、サイクスレインボーは「黄色くなった体の側面にオレンジ色のストライプが入り、頭部がキャロットヘッドの表現となるプロジェクトである。」と解説されています。
本家Geckos Etc. Herpetocultureにより様々なベースモルフやラインとの交配が進められており、販売個体からエクリプス、トレンパーアルビノ、W&Y、スーパージャイアントを含む個体が確認出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフやラインを含む場合があります。
Geckos Etc. Herpetocultureより出典 - 2005年の個体(Tremper Albinoを含む)
そもそも"Rainbow"という表記については、幾人かのブリーダーが異なるラインに対してそれぞれ用いてきた経緯があります。つまり、名前被りです。
一番最初にRainbowの名前を利用したのはRon Tremper氏であり、多様な色を表現する個体に用いられました。その後K&N ReptilesによるHypo StripeのラインもRainbowと名付けられ、A&M GeckoによるStripe及びReverse StripeのラインもRainbow Stripeと名付けられました。その他のブリーダーによっても”Rainbow”と言う表記は多用されました。
Steve Sykes氏のHPで"Rainbow"の表記が初出したのは、2005年にAPTORのグループから誕生した上の写真の個体を紹介した際です。
上記の背景から「Rainbowとは何なのか?」という問いには答えが複数存在する状態ですが、サイクスレインボーについては「Steve Sykes氏の定義するRainbow」として捉えておけば問題はありません。
以下、Steve Sykes氏により販売された個体の説明(1枚目の写真)
"Rainbow RAPTOR Leopard Gecko
This is a project we have been working on for years. Rainbows have orange stripes down the sides of a yellow body. Most have great Carrot Head as well, like this male."
以下、Steve Sykes氏により初めてRainbowの呼称が使用された際の解説(2枚目の写真)
"REVERSE STRIPE RAINBOWS
Very cool! This awesome morph popped out of our APTOR breedings in 2005. The geckos below are breeding in 2006, so we hope to have more of these awesome geckos for sale soon."
◆サングロー/Sunglow
The Urban Geckoより出典
作出者:The Urban Gecko - Craig Stewart氏 / 2004年
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
体色と模様に変化が加わった個体に対する呼称で、トレンパーアルビノが含まれます。
本質的にはスーパーハイポタンジェリンにトレンパーアルビノを加えた表現です。
サングローとは本来The Urban Geckoにより作成されたラインの呼称でありましたが、現在では外見的特徴に対する呼称であり、血統的定義は無視されます。
又、"サングロー"が外見的特徴に対する呼称となる中での黎明期の定義は「ハイポタンジェリン+トレンパーアルビノ」であり、背中側のピグメントが存在しない事が条件で、頭部のピグメントの有無については考慮されませんでした。
後に「スーパーハイポタンジェリン+トレンパーアルビノ」と定義は変化し、現在では頭部を含めて背中側にピグメントが存在しない個体をサングローと呼びます。
サングロー以外にも同時期に同様の構成内容で、幾人のブリーダーがオリジナルで作成した別ラインが存在します。
・ハイビノ/Hybino
Ray Hine Reptiles - Ray Hine氏
・スーパータンジェリンアルビノ/Super tangerine albino
LeopardGecko.com - Ron Tremper氏
・ハイグロー/Hyglow
A&M Geckos - Alberto and Mary Cadolini夫婦
本来であればこれらの名称を使用するには、それぞれの純粋な血統である必要があると考えるのが自然ですが、前述の通り血統による定義は殆ど消失した状態です。
当時はそれぞれの本家においても、血統の保存よりも表現をより良くする事が重要視され、混ざり合う中で純粋なラインは失われています。
又、それぞれ別のアルビノを用いた場合、ベルサングローやレインウォーターサングローとして表記されます。
ベビー時の発色が変わり易く化けてしまう点や、生後数年で大きく色褪せる点から、導入には注意が必要です。
Source2:Sunglowの定義(Line Bred/Polygenic Combosの項)
・サングローのグループに含まれるライン
【アンバーサングロー/Amber Sunglow (Project)、JMG サングロー/JMG Sun Glow、GGGライン サングロー/GGG line Sunglow、JEWEL GECKOSライン レインウォーターサングロー/JEWEL GECKOS Line Rainwater Sunglow、スノーグロー/Snow Glow、スーパータンジェリンアルビノ/Super tangerine albino、スーパータンジェリンベル/Super Tangerine Bell、ハイグロー/Hyglow、ハイビノ/Hybino、レッドデビル/Red Devil】
本記事の容量が大きくなり過ぎてしまい、一部の環境において読み込みの不具合を確認しました。
記事容量を軽くする為、上記のサングローのグループに含まれるラインについては、以下記事に分割して解説を行っています。
以上、サングローについて
●サンセット/Sunset
Nick Stark氏より出典 - 2011年のSunsetの個体
作出者:Nick Stark氏 / 2008年
体色に影響を与えるラインで、ブリザードが含まれます。
サンセット及びサンライズは、ブリザードとタンジェロを用いて2007年にスタートしたラインです。
根本的には、ブリザードのタンジェリン化を目指したラインです。
タンジェロを用いている事から、多くの個体がポッシブルヘテロトレンパーアルビノである事が判明しています。
サンライズとは並行ラインの関係にあり、トレンパーアルビノを表現した場合はサンライズ、表現しなかった場合はサンセットと呼称が呼び分けられます。
既に本家は廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手は困難です。
●サンファイアレーダー/Sunfire Rader
DC Geckosより出典 - 2015年の個体
作出者:DC Geckos / 不明
体色と模様に影響を与えるラインで、エクリプスとベルアルビノが含まれます。
100%キャロットテールの濃いタンジェリンレーダーを作出する事が、本ラインの目的であると解説されます。
当初は”Solar Radar Project”という呼称でありましたが、Sasobek Reptilesによる"Solar Raptor"との混同を避ける為、"Sunfire Rader"と呼称が変更されました。
サンファイアレーダーとしては上の写真の個体が有名ですが、この鼻先から大きく白抜けする表現はあくまで副産物であると解説されます。
DC Geckosより出典 - 2016年のPied Sunfire Radarの個体
その後の販売個体等を見る限りでは、この白抜け表現についてはある程度遺伝している様子が伺えます。
これらの個体はPied Sunfire Raderと呼称され、区別されます。
●サンライズ/Sunrise
Geckoboaより出典 - 2013年の個体(本家繁殖個体ではない)
作出者:Nick Stark氏 / 2008年
体色に影響を与えるラインで、ブリザードとトレンパーアルビノが含まれます。
サンライズは、ブリザードとタンジェロを用いて2007年にスタートしたラインです。
根本的には、ブリザードのタンジェリン化を目指したラインです。
サンセットとは並行ラインの関係にあり、トレンパーアルビノを表現した場合はサンライズ、表現しなかった場合はサンセットと呼称が呼び分けられます。
既に本家は廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手は困難です。
●JBR グロウ/JBR Glow
JBReptilesより出典
作出者:JBReptiles - Jérémie Bouscail氏 / 2002年
体色と模様に影響を与えるラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
JBR グロウは"SHTCTB(スーパーハイポタンジェリンキャロットテールボールディ)と鮮やかな色をしたコントラストの効いたLavender High Yellowを用いて2002年にスタートしたラインです。
これらの子孫の内、多くのピグメントが存在する(ハイポ化していない)個体群がトレンパーアルビノと交配され、色が濃くコントラストの効いたトレンパーアルビノになるように選別交配を行ったラインがJBR グロウであると解説されます。
JBReptilesより出典 - 2010年の個体
本ラインより2010年に誕生した個体は特に色が濃く、JBR HRG(High Red Glow)と呼称が分けられました。
尚、この呼称は派生ラインを示すものでは無く、一定の表現の基準を満たす個体のみに与えられる呼称です。
JBReptilesより出典 - 2010年のJBR Glow Enigmaの個体(左)
本家JBReptilesによりエクリプス、エニグマ、マックスノー、アプター、スーパージャイアントが組み込まれた個体を確認する事が出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフやラインを含んでいる可能性を留意する必要があります。
Source2:JBR Glowについて(現在アクセス不可の為以下に原文)
以下、Kyle Johnson氏創設のLeopard Gecko Wiki内での記述
"JBR Glow
A linebred project that started back in 2002 at JBReptiles and consisted for years of producing and selecting the most intense coloured and contrasted Tremper Albino. The project started with some SHTCTB crossed into some very bright coloured, contrasted & high black spotted Lavender High Yellows. The animals resulting from this cross were highly contrasted yellow/orange with a lots of black spotting but almost no Hypo influence. These specimens were then then crossed into some basical Tremper Albino to give the 1st generation of what became a few years later an easily recognizable and stable line under the name “JBR Glow”. The JBR Glow have an intense Tangerine color with sometimes red spots or lines going through their body, these coloration are contrasted with a nice Lavender banding which stay on most specimens at the adult age (at least for the Original Glow, it can be different in other project where this line is involved), Carrot /Red Head with larges markings/spots on the head is one of the Glow characteristics. They mostly hatch with already a intense Carrot/Red head and a nice tangerine color on the body, the animals will see their color get more intensity and deepness through growing. Another of the Gow characteristics is their tails which are for most of them very light colored. Some of them also carry a Red Tail genetics which doesn't influence the amount of Carrot on the tail but the redness of it, the way to produce the best Red Tail on this line is totally different than the way to produce the best Carrot Tail from other lines. To explain it shortly, it's not the ones with the largest amount of Red who produce the best looking babies. Cross a Red Tail with a sibling Red Tail seems to be the key to produce the best Red Tail.
JBR HRG (High Red Glow)
After some years of work on my Glow line, in 2010, I hatched some beautiful specimens who show a very intense Extreme Tangerine / Red coloration on all the body after 6 weeks. I called them JBR HRG (High Red Glow)."
◆ジャングル/Jungle
LeopardGecko.comより出典 - 2002年の個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
模様に変化が加わった個体に対する呼称で、崩れたバンド模様を表現します。
同一の表現に対する別の呼称として、アベラント/Aberrantが存在します。
レオパードゲッコーにおけるバンド模様は幼体時特有の表現であり、その殆どは成長と共にピグメントへと変化し失われます。
同様に、ジャングルの表現がこのバンド模様に依存する事から、ジャングルの表現の殆どは成長と共に失われます。
Geckoboaより出典 - 2016年のMack Snow Jungle Bold Tremperの個体
別項で解説するボールドと組み合わせた場合や、各アルビノと組み合わせた場合等、ジャングル表現を安定して残す事の出来る交配も存在します。
いずれにせよ、導入時にはアダルトサイズでもジャングル表現が残っている個体を選ぶ方が無難です。
●ジャングルジャイアント/Jungle Giant
A&M Geckoより出典 - 2006年の"Ruby"
作出者:A&M Geckos - Alberto and Mary Cadolini夫婦 / 2002~2003年頃(未確定)
体色と模様と体格に影響を与えるラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
ライン名からも分かる通り前述のジャイアントも組み込まれておりますが、この時点のジャイアントは共顕性遺伝の形質を持つと発表されており、その事からベースモルフとして扱われています。
A&M Geckoより出典 - 2005年の個体
初期に公開された本ラインの数体のベビーは、2003年頃の流通背景から考えると特筆して美しい個体が多く、当時のフォーラム内でも高い評価を受けています。
A&M Geckoより出典 - 2004年の個体
フルアダルト(生後18ヶ月齢)の個体も公開されており、成長後も一定の美しさを保っていた事が確認出来ます。
本ラインはこの後に誕生する多くのラインに、血統的にも表現的にも影響を与えています。
又、混乱を避ける為に記載しますが、写真内の「RAINBOW」の文字列はライン名ではなく、飼料メーカーの名前です。
既に本家は廃業しており、本記事の最終更新日までに純粋な血統の現存確認は出来ませんでした。
Source2:Jungle Giantが多くのラインに影響を与えたという記述(Line Bred/Polygenic Combosの項)
●スーパージャイアント/Super Giant
Nordic Geckoより出典 - 2017年の“Thor”
作出者:LeopardGecko.com - Ron Tremper / 1999年
体格に影響を与えるラインです。
現在、本ラインについては認知の混乱が広がっており注意が必要です。
不完全顕性遺伝の形質をとるとする説が有名ですが、現在では多因子遺伝のラインであるという考えが主流です。
依然として、不完全顕性遺伝として捉えるブリーダーも数多く存在します。
本家Ron Tremper氏は、遺伝性について潜性遺伝であると発表した後、不完全顕性遺伝であると修正、その後潜性遺伝であると再修正しています。
同氏の遺伝検証については以前から誤りが多い為、あまり支持は得られていません。
又、オバケトカゲモドキ/Eublepharis angramainyuとの交雑説も存在しましたが、同氏はその可能性を否定すると共に、Tony Gamble博士によるミトコンドリアDNA分析によっても純粋なヒョウモントカゲモドキ/Eublepharis maculariusであると証明されたと解説しています。(出典となった論文が見つけられなかった為、発見次第リンクを記載します。)
スーパージャイアントは遺伝子以外にも、育成スキルでも大きさが左右される事から検証の精度を高める事が難しく、上記のような混沌とした状態が解決を見せません。
又、不完全顕性遺伝として扱われていた頃にはホモ接合体をスーパージャイアント、ヘテロ接合体をジャイアントとして呼称が分けられましたが、現在では「ジャイアントの呼称は使用せず、成体の体重(オスで100g、メスで90g以上の個体)に基づいてスーパージャイアントの呼称を使用するものとする。」と定義も更新されています。
繰り返しますが、Ron Tremper氏の遺伝検証について誤りが多い事は確かです。しかしながら、本種におけるラインの定義は本家が絶対となる為、呼称のルールについては従う必要があります。
LeopardGecko.comより出典 - 2005年の"Moose"
体長は勿論、特に体重を競い合う傾向にあり、記録更新個体は名前を冠し、その子供達には付加価値がつきます。
"Moose" 156g
"Godzilla" 170g-30cm
"Zeus" 176g
"Thor" 185g
上記の中でもRon Tremper氏が発表した"Moose"の子供達は"Moose Giant"と名付けられ、多くのブリーダーの下へ広がって行きました。
これはSuper Giantを更に選別交配した派生ラインという事ではなく、より大きな親からの子供であるというブランドに過ぎません。既にMooseが亡くなっている事もあり、市場での流通数は限られます。
Geckos Etc. Herpetocultureより出典 - 2010年の"Godzilla"
前述の"Moose"の孫にあたる"Godzilla"と名付けられた個体も存在します。
GodzillaはGeckos Etc. HerpetocultureのSteve Sykes氏により作出され、体重170g体長30cmと当時世界最大の個体となりました。
Godzillaの子供達もまた"Godziila Super Giant"と名付けられ、現在でも多くの飼育者の下へ広がっています。既にGodzillaは亡くなっていますが、多くの子供が生れておりその子世代(つまり孫)が安定して市場に流通しています。
同じくSuper Giantを更に選別交配した派生ラインという事ではなく、より大きな親からの子供であるというブランドに過ぎませんでしたが、同血統内では更に大きな"Zues"という個体も作出されています。
更に現在世界最大の個体である、Nordic Geckoにより作出された”Thor”という個体についてもGodzilla Super Giantの血統です。
個人的な意見ですが、これらの背景を考えれば単なるブランド名と切り捨ててしまう事は早計なのかも知れません。
このようにスーパージャイアントは発展の最中にありますが、レコードブレーカーと呼ばれる上記の個体はいずれも短命でした。
その事から体重ばかりを競い合うのではなく、健康面にも配慮した最大体重を考えるべきだと警鐘がならされています。
Source1:多因子遺伝と考える説(Recessiveの項)
Source2:Ron Tremper氏によるSuper Giantについての現在の解説
以下、Ron Tremper氏による解説内容
Giant FAQにて - 最も古い解説(潜性遺伝説)
"Q) Is this trait a simple recessive?
A) Yes. We, as mentioned above, started with one normal looking Giant male and then bred it to our largest (normal-sized) albino females. Then, as in trying to express any simple recessive, we bred all the giant het daugthers to their Giant father and got 50% purebred Giants and 50% normal sized geckos. Giant bred with a Giant gives only Giants."
Giant Geneticsにて - 二番目の解説(不完全顕性遺伝説)
"Findings show that when a Super Giant is bred to a normal-sized leopard the resulting heterozygous (Giant class) young tend to be intermediate in size between a normal and a Super Giant. The largest such hets possibly have some other genes contributing to their size. Super Giants can only be obtained with certainty by breeding Super Giant to Super Giant, but when the genes meet from two of the largest hets the probability is high of producing an unusually large homozygous or Super Giant, as well. This explains how Moose occurred. In my opinion, these genes behave as the first known case of co-dominance in leopard geckos."
Mooseの成長記録
"05-16-01 - hatched
06-15-01 - 14 grams
07-21-01 - 34 grams
08-18-01 - 54 grams
09-17-01 - 70 grams
10-16-01 - 85 grams
11-22-01 - 96 grams
12-20-01 - 107 grams
01-17-02 - 115 grams
02-18-02 - 123 grams
03-15-02 - 129 grams
04-17-02 - 136 grams
05-16-02 - 140 grams
08-22-02 - 144 grams
09-26-02 - placed with females
05-01-03 - 126 grams 05-03-03 - removed from females
06-08-03 - 134 grams
07-11-03 - 144 grams
07-24-03 - 150 grams
08-08-03 - 152 grams
09-28-03 - placed with females
05-12-04 - 130 grams
05-14-04 - removed from females
06-03-04 - 136 grams
08-04-04 - 144 grams
10-22-04 - 156 grams - new weight record
10-24-04 - placed with females
01-06-05 - 140 grams
05-27-05 - removed from females
08-03-05 - 148 grams - 11 1/8" long
10-09-07 - Died - 154 grams - 11 3/8" long"
●スーパーブラッド/Super Blood
leopardgeckos94.deより出典 - 2014年の個体
作出者:leopardgeckos94.de - Dennis Manthey氏 / 2012年頃
体色と模様に影響を与えるラインで、エニグマが含まれます。
又、トレンパーアルビノを含む場合もあります。
スーパーブラッドはBlood Hypo, Tangelo, Aptor, leopardgeckos94.deによるタンジェリン、エニグマを用いて選別交配が行われたラインであると解説されます。
現在では、本家leopardgeckos94.deによりエニグマが取り除かれた"Super Blood without Enigma"と表記される個体を確認する事が出来ます。
leopardgeckos94.deより出典 - 2012年の個体※加工写真
スーパーブラッドとしては上の写真が非常に有名であり、大きな注目を集めました。
しかしながら、この写真は加工による物であるとの指摘が相次ぎ、leopardgeckos94.deも事実上この指摘を認める形で、写真と共に公開したスーパーブラッドについてのインフォメーションを削除しています。
以下は個人的な考えでありますが、「看板個体そのものが存在しない」という特殊な背景を抱える"Super Blood"の呼称が本当に有効なのか?と疑念を抱かずにはいられません。
以下、leopardgeckos94.deによる解説
"Superblood
A superblood is a combination morph out of line bred, recessive & dominant genes. Blood Hypo , the best Tangerine / red lines, Tremper Albino( Tangelo/ Aptor),a new Hypo gene & Enigma . So pure Tremper Superbloods have to be red with "white blotches"or white sides and must be " Albino" better would be the therm amelanistic"
●ソーラーエクリプス/Solar Eclipse
Sasobek Reptilesより出典 - 2012年の個体
作出者:SaSobek Reptiles - Matt Baronak氏 / 2013年
体色と模様に影響を与えるラインで、エクリプスが含まれます。
現在、本ラインについては誤った認知が広がっており注意が必要です。
国内の書籍から、スーパーハイポタンジェリンとエクリプスのコンボモルフであるような解説が行われる場合がありますが、これは誤りです。
正確には、Gプロジェクトとエクリプスを用いてSasobek Reptilesにより選別交配が行われたラインであり、この名称を使用するには純粋なソーラーエクリプスの血統である必要があります。
既に本家は廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手は困難です。
以下、Sasobek Reptilesによる解説
Here are a couple of my Solar Eclipse. They are line bred Eclipse from my "G Project". I am finally getting the look I was looking for, super clean with out using any hypo genes and lots of Carrot Tail. This years group looks like they will have more white on the head.
●ソーラーラプター/Solar Raptor
Sasobek Reptilesより出典 - 2013年の個体
作出者:SaSobek Reptiles - Matt Baronak氏 / 2013年
多因子遺伝するラインで、エクリプスとトレンパーアルビノが含まれます。
現在、本ラインについては誤った認知が広がっており注意が必要です。
国内の書籍から、スーパーハイポタンジェリンとエクリプスとトレンパーアルビノのコンボモルフであるような解説が行われる場合がありますが、これは誤りです。
正確には、ソーラーエクリプスとトレンパーアルビノを用いてSasobek Reptilesにより選別交配が行われたラインであり、この名称を使用するには純粋なソーラーラプターの血統である必要があります。
既に本家は廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手は困難です。
●ソニックレインウォーター/Sonic Rainwater
Cambridge Geckoより出典 - 2014年の"Sonic"(左)
作出者:Cambridge Gecko - Philip Shrimpton氏 / 年
体色と模様に影響を与えるラインで、レインウォーターアルビノが含まれます。
ソニックレインウォーターは"Sonic"と名付けられたTangerine Typhoonのオスを用いてスタートしたラインです。
エクリプスを含む個体と含まない個体がおり、それぞれ"Sonic Typhoon"や"Sonic Rainwater"と呼称が分けられます。
黄色の下地にハッキリとしたパターンが入り、頭部の模様がバンディットやハロウィンマスクのようになる事が特徴でした。
Cambridge Geckoより出典 - 2022年のSuper Sonic Rainwaterの個体
ところが、2021年にはSonic RainwaterへMandarin Tangerineが加えられた事が発表されました。
2022年には"Super Sonic Tangerine Rainwater"という呼称と共に、これまでのSonic表現(頭や体にジャングル模様を表現する)とは異なる表現(スーパーハイポタンジェリン)をしたSonicであるという解説がなされています。
その為、2021年以前のSonic Rainwaterと2021年以降のSonic Rainwaterでは表現の方向性・構成要素が大きく異なる事を留意する必要があります。
以下、Cambridge Geckoによる解説
"Sonic Rainwater
This has been a long term project for me building the colour and pattern year on year. These Sonic Rainwaters have been bred for high tangerine pattern with sharp colour on a yellow back ground. The best examples have bandit and halloween mask pattern on there head. Hopefully next year will have a good selection of Sonic Rainwaters to prove them as a line bred designer morph.”
以下、Cambridge Geckoによる解説
"The all new SUPER SONIC RAINWATER.
Unlike my previous Sonics that had lighter body colour and jungle pattern on the head or body, Super Sonics are Super Hypo Tangerines with solid orange bodies from head to tail. They will be released this weekend at Doncaster IHS reptile show on Sunday 3rd April.
Source1:Sonic Rainwater Albinoについて
Source2:Sonic Rainwater Albinoについて
Source3:Sonic Rainwater Albinoについて
◆ダイオライト/Diorite
Ramsey's Reptilesより出典 - 2020年のMack Snow het Blizzardの個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
模様に変化が加わった個体に対する呼称で、非常に細かいピグメントを表現します。
同一の表現に対する別の呼称として、グラナイト/Graniteやハイスペックル/Hi Specle等が存在します。
この表現はブリザード及びマーフィーパターンレスのヘテロ接合体において、ランダムに発生する事が報告されており、意図せず発生したダイオライトの多くはこのどちらかのベースモルフの影響である可能性が高いです。
Geckos Etc. Herpetocultureより出典 - 2014年のGranite Mack Super Snowの個体
スーパーマックスノーにおいて、ブリザード及びマーフィーパターンレスを使用せず、選別交配のみによってダイオライトの表現をとる場合もあります。
又、同様の表現をとり、安川 雄一郎氏がベースモルフとして発表したダイオライトについては遺伝性の検証が必要でありますが、同氏が保有していたダイオライトの純粋なラインが現存しているかは不明です。
いずれにせよ現在では表現に対する呼称であり、血統背景や含まれるベースモルフの構成要素は考慮されません。
◆タンジェリン/Tangerine
Albey's "Too cool" Reptilesより出典 - 2008年のTorrid Tangerineの個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
体色に変化が加わった個体に対する呼称で、オレンジ色を表現します。
2020年現在タンジェリンとして認知される表現は、3つの異なる表現が組み合わされた状態をさします。
- タンジェリン:体の一部~全体にオレンジ色を発色させた表現。
- ハイポメラニスティック:ピグメントを減少・消失させた表現。(別項にて詳細)
- キャロットテール:尾の一部・全体にオレンジ色を発色させた表現。(別項にて詳細)
体色の一部~全体にオレンジ色を発色させた最初期のタンジェリンは、時代の流れの中でピグメントをより少なくしていく方向性で選別が行われ(=ハイポメラニスティック化)、その最中に登場したキャロットテールも組み込まれながら選別交配が進んでいきました。
その結果、現在では一般的な"SHTCT(スーパーハイポタンジェリンキャロットテール)"の表現が完成し、タンジェリン=SHTCTに近い構図となっています。
近年ではピグメントを残す方向性(=ノンハイポ化)が注目を集めており、"タンジェリン"という呼称に対する表現の認知はまた変化していく可能性もあります。
Albey Scholl氏より出典 - 1996年のBill's Hypo Tangerineの個体
これほど多くのラインが発達しておりながら、全てのオリジナルとなったラインについての情報は殆ど見つかりません。
情報を探る中でDan Lubinsky氏とAlbey Scholl氏によるヒントになりそうな会話を発見したので、内容を解説します。
Dan Lubinsky氏はタンジェリン黎明期における最初期のライン(Hot Gecko Tangerine)作出者の一人であり、Albey Scholl氏は現在のSHTCTの方向性に大きな影響を与えたブリーダーの一人です。
この二名による記録では、少なくともスーパーハイポタンジェリンの作出者はThe Gourmet RodentのBill and Marcia Brant夫妻であり、1994年にはその土台となるタンジェリンが存在し、1996年には一定の表現をしたスーパーハイポタンジェリン(上の写真)が作出されていた事が確認出来ます。
当時を知るAlbey Scholl氏により、このタンジェリンは"Bill's Hypo Tangerine"(現在ではGourmet Rodent lineとして認知されます。)と呼称され、最初期に普及したハイポタンジェリンであるRay Hine Reptilesによる"Ray Hine's Hypo"やThe Urban Geckoによるタンジェリン群に組み込まれていた事が記述されています。
そしてこのBill's Hypo Tangerineは、Doug Barr氏が作出した"Hypo Hi Yellow"と呼ばれるラインをオリジナルとしています。
Albey Scholl氏より出典 - 1994年のBill's Hypo Tangerineの個体
1994年にOrlandoで開催されたNational Reptile Breeders Conventionの時点において、レオパードゲッコーのトップブリーダーはBill and Marcia Brant夫妻、Rich and Connie Zuchowski夫婦、Ron Tremper氏、Doug Barr氏の4業者です。
これより前にDoug Barr氏によるHypo Hi Yellowが存在していた事や、同じくBill's Hypo Tangerineが1994年には存在していた事を考えれば、Bill's Hypo Tangerineこそが限りなくオリジナルに近いと推察出来ますが、断言するには証拠が足りない為に今回は結論を見送ります。
K&N Reptilesより出典 - 2013年のNieves Tangerineの個体(本家繁殖個体ではない)
最初期に誕生したもう一つのタンジェリンについても紹介していきます。
タンジェリンのオリジナルを考える上では、David Nieves氏により1990年代半ばに作出されたNieves Tangerineの名前も挙げられます。
H.I.S.Sより出典 - 2009年のNieves Tangerineの個体(本家繁殖個体ではない)
Golden Gate Geckosにより最初期のタンジェリンの"一つ"であると語られ、K&N ReptilesとH.I.S.Sにより保存されていた純粋なNieves Tangerineを見る限りではハイポメラニスティック化が進んでおらず、同様に最初期に存在したBill's Hypo Tangerineとは明らかに異なった外見をしていた事が確認出来ます。
時系列としてはBill's Hypo Tangerineの方が先に存在したと考えられますが、Nieves Tangerineと血統的な関わりがあったかは定かではなく、表現差からも出自の異なるタンジェリンである可能性は十分に考えられます。
しかしながら、冒頭で記した通り時代の流れの中でいずれもSHTCT化がなされ混ざり合い、純粋なラインについては現存していません。
タンジェリンはレオパに存在するラインの中で、最も種類が多く発展しています。
同時に既に途絶えているラインも多く、新規入手が不可能なタンジェリンも存在します。
現在進行形で新たなラインが増え続けている表現でありますが、殆どの場合特徴差は軽微なもので、同ラインの中でも表現には大きな振れ幅があります。
ベビー時の発色が変わり易く化けてしまう点や、生後数年で大きく色褪せる事から、導入には注意が必要です。
Source2:Gourmet Rodent lineが多くのタンジェリンに含まれる記述(Tangerineの項)
・タンジェリンのグループに含まれるライン
【アトミック/Atomic、アフガンタンジェリン/Afghan Tangerine、インフェルノ/Inferno、エクストリームタンジェリン/Extreme Tangerine、エレクトリック/Electric、OGタンジェリン/OG Tangerine、グルメローデントライン(ビルズハイポタンジェリン)/Gourmet Rodent line(Bill's Hypo Tangerine)、ゲッコージェネティクス/Gecko Genetics、サンバーストタンジェリン/Sunburst Tangerine、G63プロジェクト/G63 Project、タンジェリントルネード/Tangerine Tornado、タンゴクラッシュタンジェリン/Tango Crush Tangerine、チリレッド、トリッドタンジェリン/Torrid Tangerine、ニーヴスタンジェリン/Nievs Tangerine、パープルヘッドタンジェリン/Purple Head Tangerine、BWFサンバーン(Big West Farm サンバーン)/BWF Sunburn、ファイアフォックス/FireFox、ブラッド/Blood、ホットゲッコータンジェリン/Hot Gecko Tangerine、マンダリンタンジェリン/Mandarin Tangerine、ライラックプロジェクト/Lilac Project、ラベンダータンジェリン/Lavender Tangerine】
本記事の容量が大きくなり過ぎてしまい、一部の環境において読み込みの不具合を確認しました。
記事容量を軽くする為、上記のタンジェリンのグループに含まれるラインについては、以下記事に分割して解説を行っています。
以上、タンジェリンについて
◆タンジェリンマーフィーパターンレス/Tangerine Murphy Patternless
JEWEL GECKOSより出典 - 2020年のRainwater Sunglow Murphy Patternlessの個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
体色に変化が加わった個体に対する呼称で、呼称そのままマーフィーパターンレスにタンジェリンを加えた表現です。
マーフィーパターンレス(以下、MP)を用いる事により完全にピグメントを消失させ、SHTCTの上位互換的表現を作出する事が主な目的になります。
MPに対してタンジェリンを組み込もうとする試みの歴史は古く、今回確認出来た中で最も古い記録はDavid Nieves氏による1990年代後半の試行です。
Golden Gate Geckosより出典 - 2003年の"Lindy"と名付けられたGGG line Murphy Patternlessの個体
数多のブリーダーにより同様の試行が繰り返される中で、最も実績を残したと考えられるラインはGolden Gate GeckosによるGGG line Murphy Patternlessです。
本ラインは明るい体色を持つ事※に加え、ある程度のキャロットテール化に成功しています。
しかしながら、本ラインを含めたいずれの試行においても完全なSHTCT化には至らず、あくまでもMPとしては色が明るい程度の表現に止まりました。
Geckos Etc. Herpetocultureより出典 - 2020年のRainwater Sunglow Patternlessの個体
表現の進歩が停滞気味であったこの試行について、近年レインウォーターサングローと組み合わせる形で進歩を見せています。
一部の個体はサングローと見比べても遜色のない表現をとり、世界的にも注目を集めつつある方向性です。
Tangerine + Murphy Patternless + Rainwater Albinoの組み合わせでは、現在までにライン名を冠された個体の流通はありませんが、今後の発展の中でライン化される可能性は十分に考えられます。
以下は個人的な意見になりますが、加速度的にタンジェリンの表現が成熟する中で、今度こそこの方向性の試みが一定のゴールへと向かうのではないかと期待せずにはいられません。
・タンジェリンマーフィーパターンレスのグループに含まれるライン
【GGGライン マーフィーパターンレス/GGG line Murphy Patternless、JEWEL GECKOSライン レインウォーターサングローマーフィパターンレス/JEWEL GECKOS Line Rainwater Sunglow Murphy Patternless】
・GGGライン マーフィーパターンレス/GGG line Murphy Patternless
Golden Gate Geckosより出典 - 2003年の"Lindy"
作出者:Golden Gate Geckos - Marcia McGuiness氏 / 不明
タンジェリンマーフィーパターンレスのグループに含まれるラインです。
GGGライン マーフィーパターンレスは、マーフィーパターンレス(以下、MP)にタンジェリンを組み合わせる試行における黎明期のラインの一つです。
当時のMPは色味が暗く、キャロットテール化していなかった個体が主流であった中で、本ラインは色味が明るく、キャロットテール化が進んでいた事から注目を集めました。
既に本家は廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。
・JEWEL GECKOSライン レインウォーターサングローマーフィパターンレス/JEWEL GECKOS Line Rainwater Sunglow Murphy Patternless
JEWEL GECKOSより出展 - 2021年の個体
作出者:JEWEL GECKOS / 年
タンジェリンマーフィーパターンレスのグループに含まれるラインで、レインウォーターアルビノが含まれます。
JEWEL GECKOS Line Rainwater Sunglowと並行ラインの関係にあります。
呼称は暫定的な仮称であり、今後変化する可能性があります。
JEWEL GECKOSライン レインウォーターサングローマーフィパターンレスはGeckos ETC.によるRainwater Sunglow、CandyによるTangerine Rainwater Murphy patternless等を用いて選別交配が行われたラインであると解説されます。
多くのブリーダーが目指した"マーフィパターンレスのSHTCT化"という長年の試行における、一つのゴールと言えるラインです。
Source1:JEWEL GECKOS Line Rainwater Sunglowについて
以上、タンジェリンマーフィーパターンレスについて
●タンジェロ、スーパータンジェロ/Tangelo,SuperTangelo
LeopardGecko.comより出典 - 2008年のTANGELOの個体
作出者:LeopardGecko.com - Ron Tremper氏 / 2002年
体色と模様に影響を与えるラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
タンジェロ、スーパータンジェロはRon Tremper氏によるラインであるSuper Tangerine Albinoを2002年から選別交配し、派生する形で作出されたラインです。
眼に赤い色素を持つ個体(エクリプスに由来しない)が多い事が特徴の一つとして解説されます。
現在、本ラインについては誤った認知が広がっており注意が必要です。
リリース時の発表と国内の書籍から、不完全顕性遺伝の形質を持つベースモルフとして解説される場合がありますが、これは誤りです。
正確には多因子遺伝の形質を持つラインであり、タンジェロという独立したベースモルフは存在しません。
当初は不完全顕性遺伝であると発表された事から、ホモ接合体をスーパータンジェロ、ヘテロ接合体をタンジェロと呼称が分けられました。
本家Ron Tremper氏により遺伝性の情報が修正される中で、どちらの呼称を有効とするのかについての言及は行われませんでした。(同様の経緯を持つスーパージャイアントについては、ジャイアントの呼称の撤廃が発表されました。)
同氏による最新の販売ログを見る限りでは"Tangelo"の呼称が使用されている事から、こちらの呼称が有効であると考えられますが、旧来の外見的定義の部分から呼称が使い分けられる可能性も十分に考えられます。
これらの背景から、この名称を使用するには純粋なタンジェロの血統である必要があり、当初の誤った発表によりアウトクロスが行われた個体群に関してはタンジェロではありません。
市場での流通量は多く、扱いには注意が必要です。
LopardGecko.comより出典 - 2017年のPASTEL SUPER TANGELO ALBINO ECLIPSEの個体
本家Ron Tremper氏によりエクリプス、パステルが組み込まれた個体を確認する事が出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフやラインを含んでいる可能性を留意する必要があります。
以下、Ron Tremper氏による最新の著書での解説
"Thought to be an example of incomplete dominance with a super form, but out crossings have shown that the tangelo is a strong polygenic linebred trait."
以下、Ron Tremper氏による最初の解説
"The SUPER TANGELO, is a heavy-bodied, hyper tangerine, banded Tremper line albino whereby the tangerine body color overtakes and fills in much, if not all, of the lighter body banding.
The "TANGELO" has the same body shape and intense tangerine banding, but the bandes to not take over the lighter body bands making for a very high contrast gecko. An additional nice genetic trait is the good amount of red eye pigment."
◆ターミネーターアイ
Artifactより出典
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
眼に変化が加わった個体に対する呼称で、アルビノを含まずに赤い瞳孔を持つ個体に用いられます。
国内ではよく目にする呼称ではありますが、世界的には全く使用されない呼称であり、使用には注意が必要です。
呼称の由来は映画ターミネーターに登場するロボットである"Terminator"であると考えられますが、上記の通り使用は国内に限られる呼称であり、本項でスペルの記載は行いません。
◆チョコレートアルビノ/Chocolate Albino
Joyce Brune氏より出典 - 2004年の個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
体色に変化が加わった個体に対する呼称で、トレンパーアルビノが含まれます。
トレンパーアルビノでありながら茶色いピグメントを表現します。※
この呼称が誕生した頃、市場では色が明るく美しいアルビノが好まれ、色が暗く汚いアルビノはあまり人気がない傾向にありました。
このような個体にキャッチーな印象を与える為のマーケティング方法として、チョコレートアルビノという呼称が誕生したとGolden Gate Geckosによって語られます。
当時は極めてネガティブに受け止められた呼称でありましたが、近年色が明るく美しいアルビノが市場に飽和する中で、狙って茶色く選別交配する方向性が注目を集めつつあります。
その為、チョコレートアルビノに対する評価については見直されつつある状態です。
※ベルアルビノにおいてピグメントが茶色くなる事は一般的であり、敢えてチョコレートアルビノと呼称される事はありません。
・チョコレートアルビノのグループに含まれるライン
【ウッドブラウンアルビノ、サンスポット/Sunspot、シナモンアルビノバンディット/Cinnamon Albino Bandit】
・サンスポット/Sunspot
Anthony Sutanto氏より出典 - 2021年の個体(本家繁殖個体ではない)
作出者:Pet Network Indonesia / 不明
チョコレートアルビノのグループに含まれるラインです。
本家Pet Network Indonesiaによるインフォメーションは存在せず、本ラインの方向性については購入者であるBORNEO EXOTIC PETSのAnthony Sutanto氏による情報に限られます。
その為、以下の情報には誤りが存在する可能性があります。
サンスポットは本質的にはTangerine Tremper Albinoであり、Pet Network Indonesiaによるサングローのペアから始まったプロジェクトであると語られます。
Pet Network Indonesia氏より出典 - 2017年の個体
上の写真は本家Pet Network IndonesiaがSunspotの名前を用いて紹介する数少ない個体で、"sunspot tail and spot colour"と添えられています。
他の購入者による写真を見る限りでも、キャロットテールでありながら茶色いピグメントを表現する事も特徴の一つと考えられます。
・シナモンアルビノバンディット/Cinnamon Albino Bandit
LeopardGecko.comより出典 - 2013年の個体
作出者:LeopardGecko.com - Ron Tremper氏 / 2012年
チョコレートアルビノのグループに含まれるラインです。
現在、本ラインについては誤った認知が広がっており注意が必要です。
Ron Tremper氏により潜性遺伝するベースモルフの"シナモン"とトレンパーアルビノのコンボモルフであると解説されますが、これは誤りです。
正確には、バンディットを用いて意図的にブラウンアウトさせたトレンパーアルビノのラインであり、シナモンという独立したベースモルフは存在しません。
同氏の遺伝検証については以前から誤りが多く、他のブリーダーの検証結果が優先される傾向にあります。
関連記事:ブラウンアウトについて ※現在校正中
以上、チョコレートアルビノについて
◆トータルエクリプスパイド/Total Eclipse Pied
Royal Varanより出典 - 2017年の個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
模様に変化が加わった個体に対する呼称で、主に首周辺が白く色が抜ける(パイド)表現をします。
多くの場合スーパーマックスノーとエクリプスが含まれ、このコンボモルフをトータルエクリプスと呼称する事から、パイド表現をした場合にはそのままTotal Eclipse Piedと呼称します。
又、同様のコンボモルフをギャラクシーとも呼ぶ事から、ブリーダーによってはGalaxy Piedとして呼称する場合もあります。
現状ではラインではなく特定の表現に対する総称である為、表記についてのルールはありません。
又、他の爬虫類で見られるパイドとは異なり、単一のベースモルフではありません。
エクリプスとスーパーマックスノーによる白抜けの効果を増幅させた選別交配の結果です。
その為、現段階においては両モルフが含まれる状態以外で"パイド"を安定して作出する事は難しい状態※です。
※Sunfire Raderにおいて、鼻先から頭頂部分にかけてまでのパイドがある程度固定されている事からも、完全に不可能な試行では無いと考えます。
トータルエクリプスパイドは現在、発展の最中にあります。
Hasunomi geckoより出典 - 2019年のMuphy Patternless Total Eclipce Piedの個体
マーフィパターンレスを含みながらパイド表現が維持された個体や
Royal Varanより出典 - 2017年のTremper Albino Total Eclipse Pied個体
トレンパーアルビノを含みながらパイド表現が維持された個体も確認出来ます。
Royal Varanより出典 - 2020年の個体
更には体全体にパイド表現が広がった個体も確認出来ます。
現在までにライン名を冠された個体の流通はありませんが、今後の発展の中でライン化される可能性は十分に考えられます。
交配の際にはある程度顕性的な挙動を示した報告もあり、関係性の無いトータルエクリプスとの第一世代からもパイド表現の個体が得られたケースが存在します。
又、ベビー時に白抜けしていた個体であっても、成長に伴いピグメントが発生しパイド表現が失われるケースも多数報告されています。
まだまだ黎明期にある表現であり、遺伝性や成長過程における表現の変化も不明瞭な点が多い事から、導入時にはアダルトサイズでもパイド表現が残っている個体を選ぶ方が無難です。
●トリッドタンジェリンファイアウォーターアルビノ/Torrid Tangerine Firewater Albino
Albey's "Too cool" Reptilesより出典 - 2009年の個体
作出者:Albey's "Too cool" Reptiles - Albey Scholl氏 / 不明
体色と模様に影響を与えるラインで、エニグマを含む場合もあります。
その際はTorrid Tangerine Firewater Enigmaと呼称されます。
Torrid Tangerine Firewater Albinoは、Albey Scholl氏によるTorrid Tangerine Enigmaのオスと、Hot Geckoより購入したFirewaterのメスを用いてスタートしたラインです。
呼称の中に「ファイアウォーター」の文言を含みますが、ラインの成り立ちからも分かる通り、純粋な血統ではない事に加えて作出者も異なります。
その為、ファイアウォーターとは完全に別ラインであると認識する必要があります。
本家により構成内容やラインの成り立ちがハッキリと解説されますが、本ラインはあくまでラインでありコンボモルフではありません。
構成要素から表現の再現を行った場合、呼称は「タンジェリンレインウォーターアルビノ」等となり、トリッドタンジェリンファイアウォーターアルビノとはなりません。
本記事の最終更新日までに純粋な血統の現存確認は出来ませんでした。
●ハイパーザンティック/Hyper Xanthic
JMG Reptilesより出典 - 2007年の個体
作出者:JMG Reptile - Jeff Galewood Sr. and Jeff Galewood Jr.親子 / 2002年
体色と模様に影響を与えるラインです。
全身に強い蛍光黄色を示し、コントラストの効いたピグメントを持つ事が特徴です。
JMG Reptilesより出典 - 2007年の個体
尾全体を黄色くする事がハイパーザンティックにおける目標の一つであり、その過程として上の写真のような尾の付け根に黄色を発色した個体が存在します。
本ラインの表現はかなりピンキリです。
特徴の際立つ一握りの個体は明らかに異質でありますが、JMG Reptilesによる販売個体の中にはハイイエローやボールドと区別のつかない個体も多く存在します。
そういった個体は「○○という特徴を持つからハイパーザンティック」と明言出来るような特徴差は無く、JMG Reptilesより「ハイパーザンティックの名前で出荷された個体がハイパーザンティック」として流通している程度の認識で問題ありません。
又、本家JMG Reptilesにより様々なベースモルフとの交配が進められており、販売個体からエクリプス、トレンパーアルビノ、マックスノー、W&Yを含む個体が確認出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフを含む場合があります。
以下、JMG Reptilesによる解説
"Hyper Xanthic
We decided to start this project in 2002 when we hatched out a very odd looking leopard gecko, she displayed a excessive amount of yellow and she was also very high contrast. We started selective color breeding these beautiful geckos for more intense yellow, then in 2004 we started producing hyper xanthics with yellow trailing down their tails. Now in 2007 we finally really started producing what we originally had in mind when we started this project. This year we have produced hyper xanthics with bright flourescent yellow on their body, on their heads, and on the base and parts of their tails also. The hyper xanthics we have been producing also have nice velvet black spotting on their heads and body. They are very high contrast and these are such a unique morph because the only other projects you ever see focusing on yellow in leoaprd geckos are just the plain high yellows.
In 2008 we will be releasing the first high quality and the first true hyper xanthic leoaprd geckos."
◆ハイポメラニスティック/Hypomelanistic
Avangel Geckoより出典 - 2010年のHypomelanisticの個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
模様に変化が加わった個体に対する呼称で、ピグメントが減少します。
背中側のピグメントが10個未満の個体をハイポメラニスティックと呼称します。
頭と尾のスポットについては考慮されません。
タンジェリンと並行して選別交配が進んだ表現であり、ハイポメラニスティックについての歴史を理解する上ではタンジェリンについても知る必要があります。
1994年にはハイポメラニスティックとしてある程度の形になっており、多くのタンジェリンの原型でもある"Bill's Hypo Tangerine"(現在ではGourmet Rodent lineとして認知されます。)を代表として、選別交配によりピグメントを減少させる試みは世界中で行われました。
尚、この時点でのハイポメラニスティックの遺伝性は低かった事が当時のフォーラムから確認出来ます。
その後、1990年代後半(およそ1998年か1999年)にRay Hine氏が手に入れた野生捕獲のハイポメラニスティック個体を中心として発展した"Ray Hine's Hypo"が2000年代に普及する事で、ハイポメラニスティックの表現は大きく前進しました。
又、この野生捕獲のハイポメラニスティック個体は"Ghost"と呼ばれる、ハイポメラニスティックの効果を持つベースモルフのオリジナル個体である為、現在のハイポメラニスティックが関わる殆どの個体には、ベースモルフのゴーストが含まれる可能性が高いです。
この部分については、Ray Hine's Hypoの項及びベースモルフの呼称と認知内のGhostの項にて解説します。
EH-Gekko'sより出典 - 2010年のSuper Hypomelanisticの個体
背中側のピグメントが全て失われた場合、スーパーハイポメラニスティック/Super Hypomelanisticと呼称されます。
黎明期における定義ではハイポメラニスティックと同様に頭部のピグメント量について考慮されませんでしたが、現在の定義では頭部についてもピグメントが存在しない個体をスーパーハイポメラニスティックとして呼称します。
Source1:Hypomelanisticについて(現在アクセス不可の為以下に原文)
Source2:Hypomelanisticについて(内容にはRay Hine's Hypoについても含みます。)
以下、Kyle Johnson氏創設のLeopard Gecko Wiki内での記述
Hypomelanistic or Hypo refers to Leopard Geckos which exhibit reduced melanin or black coloring. To be considered a Hypo rather than a High Yellow a leopard gecko must have 10 or fewer spots on its body (excluding the head and tail). If the gecko is all yellow with no black body spotting, it would be considered a Super Hypo.
・レイハインズハイポ/Ray Hine's Hypo
Golden Gate Geckosより出典 - 2005年の純粋なRay Hine's Hypo lineの個体(本家繁殖個体ではない)
作出者:Ray Hine Reptiles - Ray Hine氏 / 不明
ハイポメラニスティックのグループに含まれるラインで、ゴーストが含まれます。
本ラインの呼称については、Ray Hine Reptilesにより"Ray Hine's Hypo"というライン名が与えられた訳ではありません。
Ray Hine Reptilesによりリリースされたハイポメラニスティックが高い遺伝性を誇った事から、購入者が他のハイポメラニスティックと区別する為に"Ray Hine's Hypo"等と表記した事が始まりです。
レイハインズハイポとは、1990年代後半(およそ1998年か1999年)にRay Hine氏が入手した野生捕獲のハイポメラニスティック個体を発祥とするベースモルフである"ゴースト"に、タンジェリンを加えたラインです。
その為、表現としては現在のスーパーハイポタンジェリンやハイポタンジェリンとイコールの関係にあります。
前述の通り本ラインは高い遺伝性を誇り、Ray Hine's Hypoそのものが共顕性遺伝なのではないかという議論にまで発展しました。
その為多くのブリーダーにより重宝され、当時発展の最中にあったスーパーハイポタンジェリンの土台として広く活用されていきました。
本記事の最終更新日までに純粋な血統の現存確認は出来ませんでした。
Source1:Ray Hine's Hypoの遺伝性について1
Source2:Ray Hine's Hypoの遺伝性について2
以上、ハイポメラニスティックについて
●パステル、パステルラプター/Pastel, Pastel RAPTOR
LopardGecko.comより出典 - Pastel Tremper Albinoの個体
作出者:LeopardGecko.com - Ron Tremper氏 / 2008年
体色と模様に影響を与えるラインです。
現在流通するピントは主にエクリプスとトレンパーアルビノを含みますが、この二つのベースモルフを個体も存在します。
LeopardGecko.comより出典 - 2008年の"Blue Belly"
パステルは"Blue Belly"と名付けられた個体を用いて2008年にスタートしたBlue Leopard Gecko Project※の副産物として作出されたラインです。
現在、本ラインについては誤った認知が広がっており注意が必要です。
リリース時の発表と国内の書籍から、顕性遺伝の形質を持つベースモルフとして解説される場合がありますが、これは誤りです。
正確には多因子遺伝の形質を持つラインであり、パステルという独立したベースモルフは存在しません。
本家Ron Tremper氏においても、遺伝形質については顕性遺伝から多因子遺伝へと情報を修正しています。
この名称を使用するには純粋なパステルの血統である必要があり、当初の誤った発表によりアウトクロスが行われた個体群に関してはパステルではありません。
LopardGecko.comより出典 - 2017年のPASTEL WHITE & YELLOW ALBINO ECLIPSEの個体
本家Ron Tremper氏によりW&Y、エメリン、スーパージャイアント、スーパータンジェロが組み込まれた個体を確認する事が出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフやラインを含んでいる可能性を留意する必要があります。
「○○という特徴を持つからパステル」と明言出来るような特徴差は無く、Ron Tremper氏により「パステルの名前で出荷された個体がパステル」として流通している程度の認識で問題ありません。
※Blue Leopard Gecko Projectにおける最大の目標であった青い表現の固定や再現は叶わず、"Blue Belly"はパラドックス表現であったと考えられます。
Source1:Pastel Information(最終更新日時までにおいて、一つ古い解説が記載されたままになっています。)
以下、Ron Tremper氏による最新の著書での解説
"This genetic is an impressive color enhancer."
"Over the years it has proven to be a complex polygenic trait."
● PataPataRep’s メラニスティックトレンパー プロジェクト/PataPataRep’s Melanistic Tremper Project
PataPataRepより出展 - 2022年の個体
作出者:PataPataRep / 2020年
体色と模様に影響を与える国産のラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
呼称は暫定的な仮称であり、今後変化する可能性があります。
PataPataRep’s メラニスティックトレンパープロジェクトはLe Roi Leopard GeckosによるBlackNight、JMG ReptileによるBP Charcoal等を用いて選別交配が行われたラインであると解説されます。
PataPataRepより出展 - 年の個体
バンド状にメラニスティック表現が入る事が特徴の一つです。
個人的には既に固有性の高い表現を持つと考えますが、作出者であるPataPataRepにより更なる表現の発展に向けて試行が繰り返されます。
本ラインは同氏の取り組む多くのメラニスティックプロジェクトの一つであり、今後の展開次第では細分化される可能があります。
●パターンレスストライプ/Patternless Stripe
A&M Geckosより出典 - 2006年の個体
作出者:A&M Geckos - Alberto and Mary Cadolini夫婦 / 不明
模様に影響を与えるラインです。
多くの個体がポッシブルヘテロエクリプス、トレンパーアルビノである事が判明しています。
現在、本ラインについては誤った認知が広がっており注意が必要です。
ラプターに含まれるパターンレスの因子の呼称として解説される場合がありますが、これは誤りです。
正確には、リバースストライプとストライプの交配から得られた、ハッチ直後からパターンレスで背中にストライプを表現した個体群を用いて2006年にスタートしたラインを"パターンレスストライプ"と呼称します。
又、この背骨に沿うような形で表現されるストライプは成長後も消える事なく維持され、リバースストライプとストライプを交配した際にのみ表現が再現されたと解説されます。
A&M Geckosより出典 - 2006年のPatternless Stripe Albino(Tremper)の個体
本家A&M Geckosによりトレンパーアルビノが組み込まれた個体を確認する事が出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフを含んでいる可能性を留意する必要があります。
既に本家は廃業しており、本記事の最終更新日までに純粋な血統の現存確認は出来ませんでした。
以下、A&M Geckosによる解説
"The name 'Patternless Stripe' does not make much sense if you take it as you read it. This name came after the new babies from this project started to hatch. The cross was suppose to produce hets to make giant albino red racing stripes, giant red racing stripes, giant albino reverse red racing stripes and giant reverse red racing stripes in the 2006 season. 1 out of 4 of the new hatchlings showed a patternless body with a striped tail right from birth (similar to a super stripe) and in most of the cases the design did not fade as they grew into adults. These unique traits are why we began calling them patternless stripes. The offspring showed up only when we bred our stripes to a reverse stripe, and is as if the stripes cancelled each other out forming what appears to be a patternless animal with a fully striped tail. The pairs also produced a few albino babies, which look just like an APTOR. In the next few years of breeding we hope to see if we have found out the genetics behind them. If this is true, we believe we'll be able to produce full colored eye animals from cross breeding the patternless stripes. We'll keep you updated as the project unfolds."
"These are the best examples of the above crosses. You can see for yourself why we coined them 'patternless stripes'. Let's see if we have just unfolded the genetic of the famous Raptors and Aptors. Of course we will use a few of these babies to breed directly with a raptor to see if the full color eye comes out directly and shorten the time it will take to prove my theories out. You can see the difference between the perfect patternless stripe and the others that we call patternless stripe project."
◆パラドックス/Paradox
Reptmartより出典 - 2015年の個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
体色や模様に変化が加わった個体に対する呼称で、含まれるベースモルフやラインからは本来出現しないはずの表現を持つ個体に対して使用されます。
これらの表現に遺伝性は一切ありません。
leopardgeckos94.deより出典 - 2016年の個体
比較的出現頻度が高いパラドックスとしては、上の写真のようにいくつかの黒いスポットを持つ個体です。
Geckos Etc. Herpetocultureより出典 - 2019年の個体
Geckomaniaxより出典 - 2016年の個体
又、本来は背反する表現(ノーマル⇔アルビノ、ピグメント⇔パターンレス)を同時に表現した場合、キメラ/Chimeraと呼称される場合もあります。
尚、移植免疫の関係から、この表現をしたレオパードゲッコーに対して"キメラ"という呼称を使用する事は誤用であり、正しくは"モザイク"であると考えられます。
●バーニングブラッドレインウォーターアルビノ/Burning Blood Rainwater Albino
LeopardGecko.comより出典 - 2019年のBlue Amber Eye Burnig Blood Rainwater Albinoの
個体
作出者:LeopardGecko.com - Ron and Helene Tremper夫婦 / 2014年
体色と模様に影響を与えるラインで、ブルーアンバーアイが含まれます。
多くの個体がポッシブルヘテロエクリプスである事が判明しています。
バーニングブラッドレインウォーターアルビノはHelene Tremper氏が中心となってヘテロフリーのレインウォーターアルビノとブラッド、ストライプを用いて2014年にスタートしたラインです。
呼称の由来はmyleopardgecko.comのMarco Struck氏の提案によるものです。
本ラインの目的はストライプ模様のブラッドレインウォーターアルビノを作出する事にありましたが、意図せず2018年にブルーアンバーアイ(以下、B.A.E.)が出現した事により、更にB.A.E.を組み込んだラインへと方向性が変更されました。
B.A.E.を含む場合Blue Amber Eye Burnig Blood Rainwater Albinoと呼称されます。
尚、Ron Tremper氏よりBlue Amber Eye Burnig Blood Rainwater Albinoを購入したDidiegecko AFTの繁殖結果から、エクリプスの出現が報告されており、表現の近しいEye mutationが二つ含まれるあまり望ましくない状態にあります。
●バーミリオン/Vermillon
JBReptilesより出典 - 2016年のVermillon Glowの個体
作出者:JBReptiles - Jérémie Bouscail氏 / 2009年
本家JBReptilesによりバーミリオンは「gene(遺伝子)」であると解説されます。(新しいモルフであると言いたい?)
インフォーメーションの中で特徴についても明記されますが、公開される写真とあまり一致しない点や、様々なモルフやラインが組み込まれた個体ばかりが紹介されている事もあり表現を読み解く事が出来ません。
JBReptiles以外のブリーダーからバーミリオンが新しいベースモルフであるという検証報告もありませんので、今回は特定のブリーダーによる特定の血統を示すという意味でラインとして扱います。
JBReptilesより出典 - 2016年のVermillon Glow Enigmaの個体
本家JBReptilesによりエクリプス、エニグマ、マックスノー、ゴースト、アプター、メラニスティックが組み込まれた個体を確認する事が出来ます。
又、同社が本ラインをベースモルフとして扱っていた場合、ラインとしての選別交配を行っていない可能性も高く、その他多くのモルフやラインの混入が考えられます。
実際に同社が公開する個体の中には、出自の不明な呼称を含むバーミリオンのコンボ個体?が多数確認出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフやラインを含んでいる可能性を留意する必要があります。
本記事で紹介する数あるラインの中でも特に「○○という特徴を持つからバーミリオン」と明言出来るような特徴差が無く、JBReptilesより「バーミリオンの名前で出荷された個体がバーミリオン」として流通している程度の認識で問題ありません。
Source1:Vermillonについて1(現在アクセス不可の為以下に原文)
以下、Kyle Johnson氏創設のLeopard Gecko Wiki内での記述
"Vermillon
The gene appeared randomly in 2009 from a cross of some Ghost JBR Glow to Enigma. At the beginning and from the way it popped up and reproduced it was thought to be a polygenics linked to the Ghost complex, but after produced some specimens that proved to not carry the Ghost gene and transmitting itself in a regular basis, the gene proved dominant in the 2013 season. It also proved to be a part of the Enigma complex, to make it easier to understand, you can combine them but you can't produce the mix of them with more than a copy of each. They’re usually hatching with a reduced head marking somehow similar to Enigmas in some points but not all of them will show it as this could be hide by other polygenics. Several of them have some deep white spots on the head and/or a deep white "Bandit" mask going from one side of the nose to the other, some other will have a large spot in middle of the face. The Vermillons and most combos frequently keep the white neck marking for longer than others specimens do and most of them develop different range of white side that goes even on the tail, several of them will also develop a nice light coloured dorsal stripe while getting older. They tend to develop Lavender inside the pattern, especially on the head. The gene also has an effect of reducing the pattern and black pigmentation (or the equivalent pigmentation in combo) and is a color enhancer. While aging, some of them develop various paradox marking from black one in non albinos and lots of red ones when mixed into Enigmas, paradox are mostly seen here in the non albino versions even if the albino have several times some yellow/orange paradoxal marks. Their tails seems to show for most of them some grey/blue markings also mostly on the non albino ones, very similar to the enigmas blue tails. Several combos has been produced yet but most of them are still to make."
◇ピグメント白色化表現(仮称)
JMG Reptilesより出典 - 2010年のReverse Stripe Tremper het raptorの個体
この表現は古くから存在しますが、表現に対しての総称が存在しません。
これはレオパードゲッコーに存在する数ある表現の中でも、固定・再現・維持の難易度が極めて高い事に起因するものと考えられます。
暫定的に"ピグメント白色化表現"という呼称を与え分類を行っていますが、よりドライな言い方をすればタンジェリンアルビノにおける表現の一つであり、分類については再検討の必要があります。
表現を端的に言葉にすれば 「黒いピグメントがアルビノ化された際に白く表現される」 という状態です。
言うは易し行うは難しという状態で、実際にはハイポ化してしまい白くなるはずのピグメントが消失してしまったり。
ブラウンアウトを抑えられず茶褐色のピグメントとなったり。
バンド部分にしか白色表現を固定できず初期のトレンパーアルビノを再現しただけになったり。
とかく本種において「ピグメントを白くする」という試行は、異常な難易度であると言えます。
JMG Reptilesより出典 - 2007年のTremper Albinoの個体
2007年頃にはJMG Reptileによってこの表現がある程度固定化されていた様子が見受けられますが、世界的な流行がSHTCTに傾く中で失われていきます。
このTremper Albino群は、程なくしてStone WashやJMG Sunglow等のラインとして派生をしますが、これらのラインもその殆どが失われているのが実態です。
上記の背景に加えベビー時の表現は変化し易い為、導入時にはアダルトサイズでも表現が維持された個体を選ぶ方が無難です。
・ピグメント白色化表現(仮称)に含まれるライン
【オルトロス/Orthrus、ストーンウォッシュ/Stone Wash、レッドダイヤモンド/Red Diamond 】
・オルトロス/Orthrus
灰の樹より出展 - 年のOrthrusの個体
作出者:灰の樹 / 2020年
体色と模様に影響を与える国産のラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
暫定的にピグメント白色化表現(仮称)として分類します。
多くの個体がポッシブルヘテロエクリプスである事が判明しています。
オルトロスはAfghan Tangerine Tremper、CandyによるEmerine Tremper Albino、Geckos ETC.によるWY Blood Emerine、RAPTOR等を用いて選別交配が行われたラインであると解説されます。
固定の難しいピグメント白色化表現(仮称)でありながら、一定の遺伝性が確立されている稀有なラインであり、頭部への表現固定は特に顕著です。
灰の樹より出展 - 年のOrthusの個体
背中に2本のストライプ模様が入る事が特徴の一つで、中でも生後1年の時点で途切れなく美しいストライプ模様を表現した個体は"オルトス/Orthus"と呼び分けられ区別されます。
学名でも使用される「真っ直ぐ」を意味するラテン語の”Orthus”が呼称の由来であり、特徴的なストライプ模様とかけられています。
灰の樹より出展 - 年のOrthrusの個体
あくまでもストライプ模様は特徴の一つであり、オルトロスの中にはそうした表現をしない個体も存在します。
・ストーンウォッシュ/Stone Wash
JMG Reptilesより出典 - 2010年の個体
作出者:JMG Reptile - Jeff Galewood Sr. and Jeff Galewood Jr.親子 / 不明
模様に影響を与えるラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
暫定的にピグメント白色化表現(仮称)として分類します。
頭部を中心に白く色抜けし、体全体は擦れたような表現となり、Stone Washの原義の通りはき込んだジーンズのような風合いになります。
本ラインのインフォメーションは既に失われており、明確な方向性については不明です。
表現が近しい個体を、同社の取り組んでいたラインである"JMG Sunglow"とその前身であるトレンパーアルビノから確認出来ます。
JMG Reptilesより出典 - 2007年のTremper Albinoの個体
2007年にトレンパーアルビノとして紹介された個体群の中には、既にストーンウォッシュとして販売された個体と変わらない表現の個体も存在します。
更にJMG Sunglowの解説では、興味深い記述も存在します。
「頭部は殆どが白くなるか、半分程の面積が白い大理石模様となるユニークな特徴を持つ。」
という内容です。
これらの外見的特徴はStone Washの表現とも合致しており、より顕著にしていった個体群がストーンウォッシュとして派生したと考えられます。
残念ながら、現在JMG Reptilesはこのような表現の個体を殆どリリースしておらず、本物の入手は非常に困難です。
以下は注意喚起程度の情報になりますが、近年「JMG line Stone Wash」の表記で流通する個体群が存在します。
これらは本家JMG Reptilesによって販売が行われた個体群ではなく、殆どの場合はEU、僅かにアジア圏にて繁殖された、血統的な純粋度が怪しい個体群です。
現状本家すら表現の維持がままなっておらず、これらの個体群も同様に本来のStone Washからはかけ離れた表現をしています。
言葉を重ねますが、魅力的でユニークな特徴を持つ本ラインについて、本物の入手は非常に困難です。
以下、JMG ReptilesによるJMG Sunglowの解説
"JMG Sun Glows
We have been working on this project for over five years now and our goal with this project has been accomplished. The characteristics of our sun glows are a pure white tail with light pattern, solid deep orange bodys that display more than the usual amount of orange than other sun glow albinos, and finally white and orange heads that can vary from having nearly pure white heads to half orange and half white marbled pattern heads. These are some of the most unusual Tremper albino sun glows just becasue of the intense orange they dispaly and their unique features that seperate them from all of the other sun glows out their.
We have sold very few sun glow trempers from our blood line and we will be releasing more in Fall 2007 and 2008. "
・レッドダイヤモンド/Red Diamond
Luca's Geckosより出典 - 2019年の個体
作出者:Carlo Maia氏 / 不明
体色と模様に影響を与えるラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
暫定的にピグメント白色化表現(仮称)として分類します。
レッドダイヤモンドはElectric Tangerine, Bandit, Ultimate GeckosによるWY Tangerine, JMG ReptleによるBlood Sunglow het Raptorを用いて選別交配が行われたラインです。
本ラインの作出者はCarlo Maia氏であり、規模縮小に伴ってLuca Gonzini氏へとプロジェクトが引き継がれています。
余談ではありますが、本ラインは本家が廃業する前にプロジェクトの引継ぎを行った珍しい経緯を持つラインです。
現状本家が廃業したラインの扱いについては議論が多い中、後継者を用意するという形でプロジェクトの維持・進行について解決をみせたCarlo Maia氏のこの手法については、他のラインにおいても活用されるべきであると考えます。
Source1:Red Diamondについて(Line Bred/Polygenic Combosの項)
以上、ピグメント白色化表現(仮称)について
●ピント/Pinto
leopardgeckos94.deより出典 - 2015年の個体(Tremper Albinoを含まない)
作出者:leopardgeckos94.de - Dennis Manthey氏 / 2015年頃
体色と模様に影響を与えるラインで、トレンパーアルビノとマックスノー、W&Yが含まれます。
現在流通するピントは主にトレンパーアルビノを含みますが、初期のピントにはトレンパーアルビノを含まない個体も存在します。
上記3つのベースモルフを用いて、背中に白いストライプを表現をする個体を"ピント"と定義し、選別交配が行われています。
leopardgeckos94.deより出典 - 2019年の個体(Tremper Albinoを含む)
あくまでも背中に白いストライプを表現する個体がピントの目指す形であるというだけで、本家leopardgeckos94.deの販売個体を見る限りでは、バンド模様の個体も存在します。
●ブラックブラッド/Black blood
JMG Reptileより出典 - 2012年の個体
作出者:JMG Reptile - Jeff Galewood Sr. and Jeff Galewood Jr.親子 / 不明
体色と模様に影響を与えるラインです。
ブラックブラッドは純粋なブラッドから出現した黒味の強い個体を用いて作出されました。
黒とオレンジを発色し錆びたような表現の個体を作出する事が、本ラインの目的であると解説されます。
JMG Reptileより出典 - 2022年のBlack Blood Pos Het Raptorの個体
本家JMG Reptileによりヘテロ エクリプス、トレンパーアルビノと表記される個体を確認する事が出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフを含んでいる可能性を留意する必要があります。
以下、JMG Reptilesによる解説
Black blood is a spin off line bred trait from pure bloods. Darker dirtier more melanistic bloods were the goal and line bred to have a black and orange rusty appearance!
●プロジェクト ゴールドダスト/Project Gold Dust
Concrete Jungleより出典 - 2021年の個体
作出者:Concrete Jungle - Jamal C Reynolds氏 / 2021年
体色に影響を与えるラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
プロジェクト ゴールドダストは写真のメス個体を用いて2021年にスタートしたラインです。
チョコレート色をしたようなラベンダー色をしたような太いバンドを持ち、全身は強い黄色を表現する事が特徴です。
多くのラインがタンジェリン化していく時代の中で、ザンティック化を目指す異質なラインです。
◆ボールディ/Baldy
Golden Gate Geckosより出典 - 2010年の"Layla"と名付けられたSuper Hypo Tangerine Carrot tail Baldyの個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
体色と模様に変化が加わった個体に対する呼称で、主にタンジェリンの中で頭部のピグメントを完全に消失した個体に用います。
ボールディは少なくとも2003年には使用されていた古い呼称です。
現在ではボールディの定義を満たす個体の表記に必ずしも加えられている訳ではなく、徐々に廃れつつある呼称です。
当時はこのような表現の個体は珍しく呼び分ける為に与えられた呼称でありましたが、本種全体の選別交配が進む中である種ありきたりな表現となりつつあり、わざわざ表記に加えるブリーダーが減った背景があります。
対称的な表現として、頭部にオレンジの模様がある事を示す"Carrot-Head"という呼称も存在しますが、この呼称についても現在ではあまり使用されません。
◆ボールド/Bold
Geckoboaより出典 - 2019年のGem Snow Boldの個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
模様に変化が加わった個体に対する呼称で、際立った大きなピグメントを表現します。
近年ボールドがストライプ状に並ぶ表現=ボールドストライプの流通が盛んである事から、ボールド=ボールドストライプのような構図となりつつありますが、ストライプ状で無かった場合でもこの呼称を使用して問題ありません。
選別交配により、多くのラインが作出されています。
・ボールドのグループに含まれるライン
【R2 ボールドストライプ/R2 Bold Stripe、エクストリームボールド/Extreme Bold、The Gecko Gallery line ラベンダーボールド/The Gecko Gallery Lavender Bold、GGGライン ボールドストライプ/GGG line Bold Stripe、ゾロバンディット/Zorro Bandit、ゾロマンダリンバンディット/Zorro Mandarin Bandit、ハロウィンマスク/Halloween Mask、バンディット/Bandit、豹紋堂's TUGスノーボールド プロジェクト/豹紋堂's TUGSnow Bold Project、ファイアボールド/Firebold、ベンガルプロジェクト/Bengal Project、ボールドゴールドプロジェクト/Bold Gold Project、ボールドストライプ/Bold Stripe、モナークプロジェクト/Monarch Project】
本記事の容量が大きくなり過ぎてしまい、一部の環境において読み込みの不具合を確認しました。
記事容量を軽くする為、上記のボールドのグループに含まれるライン及び表現に対しての総称については、以下記事に分割して解説を行っています。
以上、ボールドについて
●ファイアウォーター/Firewater
Hot Geckoより出典 - 2006年のFirewater(右下)
作出者:Hot Gecko - Dan Lubinsky(Daniel H. Lubinsky)氏 / 2006年
体色と模様に影響を与えるラインで、レインウォーターアルビノが含まれます。
現在、本ラインについては誤った認知が広がっており注意が必要です。
国内の書籍から「スーパーハイポタンジェリン+レインウォーターアルビノ」であるような記述を見かけますが、これは誤りです。
正確には、Dan Lubinsky氏によりHot Gecko Tangerineとレインウォーターアルビノを用いて選別交配が行われたラインです。
その為、この名称を使用するには純粋なファイアウォーターの血統である必要があります。
構成要素である"Hot Gecko Tangerine"とは並行ラインの関係にあり、レインウォーターアルビノを含まなかった場合は"Hot Gecko Tangerine het Firewater"※等と呼称されます。
※Firewaterはライン名である為、ヘテロ表記に用いる事はあまり望ましくありません。
JEWEL GECKOSより出典 - 2020年のRainwater Sunglowの個体(注:Firewaterとは関係ありません)
本家Dan Lubinsky氏によるFirewaterについての解説から
「色褪せないタンジェリンを加えアダルトサイズにおいても強烈な色を保持するレインウォーターアルビノの作成」
「フルキャロットテールになる赤みがかった美しいアプターのようなレインウォーターアルビノの作成」
といった表現についての方向性がハッキリと解説されており、これらの文言と公開された写真から現在のレインウォーターサングローのような表現がファイアウォーターの目的であったと考えられます。
尚、この解説があった時期のアプターは頭部に模様を残す場合も多く、頭部の模様についてDan Lubinsky氏がどのように考えていたか現在では分かりません。
Highwoods Exoticsより出典 - 2017年の個体(本家繁殖個体ではない)
近年、ファイアウォーターの一角として上の写真のように柄が強く入った表現をした個体群も有名ですが、上記の背景から「この表現はDan Lubinsky氏の求めたFirewaterであるのか?」という疑問を感じずにはいられません。
いずれにせよ今回の記事におけるラインの定義は「血統」にあり、純粋な血統の個体である限りはファイアウォーターの呼称を使う権利がある為、この疑問については保留します。
又、純粋な血統のファイアウォーターについて考える上で、HD Herpによる興味深い記述があります。
「ファイアウォーターは、ソリッドカラーの赤いレオパを作るというDan Lubinsky氏の目標でした。タンジェリンやスーパーハイポの黎明期に作出され、本物のファイアウォーターはヘテロフリーのラインでした。」
というものです。一部割愛しておりますので、原文は下記に記載します。
太字部分が重要であり、ヘテロフリーであったという記載が事実であれば、現在流通するファイアウォーターの殆どは純粋な血統ではありません。
裏付けとして、現在流通する多くのファイアウォーターはHot Geckoから直売された個体群をオリジナルとしておらず、Hot Geckoからファイアウォーターを購入したH.I.S.SのKelli Hammack氏とJett ExoticsのBryan Jett氏が繁殖した個体群をオリジナルとしている事実があります。
そして、両氏から販売された個体群にはエクリプスが含まれる事が判明しています。
HD Herpより出典 - 2012年のEmerine het Firewater redstripe ph typhoonの個体(Bryan Jett氏による写真)
実際にBryan Jett氏が公開する写真の中には"Emerine het Firewater redstripe ph typhoon"なる個体も存在し、別ラインとの交配が盛んに行われていた事が伺えます。
HD Herpより出典 - 2011年の"Lava"(Bryan Jett氏による写真)
Bryan Jett氏の保有したFirewaterのメスとKelli Hammack氏の保有したHot Gecko Tangerine het Rainwater Albinoのオスから産まれた"Lava"と名付けられた個体を用いた"Lava line Firewater"という派生ラインが存在しますが、前述の背景からLava line Firewaterは本当に純粋なファイアウォーターにより構成されているのか?という若干の疑念が残ります。
Troy Wellingより出典 - 2016年の個体(Adirondack Geckosによる販売個体)
これら両氏の個体群とは関わりがない、本家Hot Geckoより導入したFirewater群をAdirondack GeckosのKathy Henderson氏が現在も保有しています。
同氏もまたFirewaterを用いたクロス個体を作出していた事から当然疑念は残りますが、”Firewater (pure)"という表記の販売個体が存在する為、少なくともPureとCrossを分けてブリードを行っていたと考えられます。
Geckoboaより出典 - 2015年の100% original lineの個体(本家繁殖個体ではない)
このように混沌としたファイアウォーターについて、GeckoboaのJohn Scarbrough氏により保存と販売が行われています。
同氏の扱う個体群には"100% original line"という表記が用いられ、純粋な血統である事が強調されます。
100% original lineは上記の3者を経由する形で、Hot Geckoが直接販売した個体及びその子供から構成され、血統の純粋性を保っていると解説されます。
本ラインは世界的に人気が高く流通個体も多い一方で、上記の事情から純粋なファイアウォーターは殆ど存在しません。
既に本家が廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。
Source3:100% original lineについて
Source4:Firewaterの原型であるRainglow
以下、Dan Lubinsky氏による解説
"I'm trying to get RWs that hold intense color as adults by adding our tangs that don't wash out. The hets have held color thru breeding. The first clutch was split (one screamer, one pretty nice one), like tang clutches usually are so I'm pretty excited. Someone said that one was on fire and someone else said it was glowing. "
"We're hoping to get the full carrots like the good Aptors with more reddish orange... Firewaters maybe ?"
以下、Geckoboaによる100% original lineについての解説
"These are pure Firewaters from the original Dan The Fireman line. Very rare that any are 100% from the original line anymore."
●ファンキージャングルベル/Funky Jungle Bell
Sasobek Reptilesより出典 - 2011年のFunky Jungle Bell Mack Snow Het Eclipseの個体(Mike Ecklund氏による販売個体)
作出者:Mike Ecklund氏 / 不明
模様に影響を与えるラインで、ベルアルビノが含まれます。
本家Mike Ecklund氏によりエクリプス、マックスノーが組み込まれた個体を確認する事が出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフを含んでいる可能性を留意する必要があります。
既に本家が廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。
●ブライトラインベルアルビノ/Bright Line Bell Albino
John Lukach氏より出典 - 2018年の純粋なBright Bellの個体(本家繁殖個体ではない)
作出者:Bright Albino - Paul Allen氏 / 不明
体色と模様に影響を与えるラインで、ベルアルビノが含まれます。
現在、本ラインについては誤った認知が広がっており注意が必要です。
スーパーハイポタンジェリンとベルアルビノのコンボモルフであるような解説が行われる場合がありますが、これは誤りです。
正確には、Albey's "Too Cool" ReptilesによるDorsal StripeとBright Albinoが所有していたTangerin Bell Albinoを用いて作出されたラインです。
その為、この呼称を使用するには純粋なブライトラインベルアルビノの血統である必要があります。
本家Bright Albinoにより、略称として"Bright Bell"とも呼称されます。
この"ブライトラインベルアルビノ"という呼称については、勘違いが発生しやすい状態にあります。
1.ブライトラインベルアルビノ(ブライトベル)
⇒Bright Albino(Paul Allen氏)によるラインの呼称
2.ブライドアルビノライン ベルアルビノ
⇒Bright Albino(Paul Allen氏)により販売されたベルアルビノである事を示す為の呼称
Paul Allen氏の屋号であるBright Albinoと、ライン名であるBright Line Bell Albinoが似ている事から、上記の通り間違い探しのような状態になっています。
同氏が取り組んでいたベルアルビノのラインは複数存在する事から、"Bright Albino line Bell Albino"はあくまでも血統的なルーツを示す呼称に過ぎません。
一方で、"Bright Line Bell Albino"についてはPaul Allen氏による特定のラインを示す呼称となり、表記については注意して確認する必要があります。
Bright Albinoより出典 - 2010年の解説のキャプチャ(Bright Bell Enigma Albinoの写真を見つけられなかった為)
又、本家Bright Albinoによりエニグマが組み込まれた"Bright Bell Enigma Albino"という派生ラインが存在した事を確認出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフを含んでいる可能性を留意する必要があります。
既に本家は廃業しており、本記事の最終更新日までに純粋な血統の現存確認は出来ませんでした。
Source1:Bright Line Bell Albinoについて
以下、Bright Albinoによる解説
"Description and History: Our Bright Line Bell Albinos ("Bright Bells", for short) are a project we began working on in late 2006. We obtained an outstanding Dorsal-Stripe Tangerine from Albey Scholls (Albey's Too Cool Reptiles). This gecko (pictured here) was a "one of a kind" Dorsal Stripe, in our opinion. His color was so intense and he had excellent structure and temperament. Those were the exact traits we were wanting to cross into our Tangerine Bell Albinos at the time. We did several crosses in 2007 and produced a few het Bells that showed real potential. In 2008 one of the Dorsal Stripe x Tangerine Bell crosses produced a stunning male (pictured here) that became the foundation for our line of Tangerine Bell Albinos. We continued to see great progress in 2009 and held back most of the Bright Bells produced from '09. The breeders pictured above were produced in 2009.
Characteristics: Our Bright Line Bell Albinos are characterized by intense, deep orange body and head color. Most of our Bright Bells have contrasting patterns and markings (lavender, lime-yellow, maroon) that visual enhance the depth of the orange body and head coloration. Bright Bells also carry the Dorsal Stripe trait developed by Albey Scholls. This trait displays in varying amounts in individual geckos. The tangerine traits associated with this project usually begin to display their full potential between 30 - 50 grams. Adult color does dull slightly depending on age and breeding stress, but in relation to other Tangerine Bell projects we've worked with, the color loss is minimal.
Project Direction: In 2010 we are continuing to breed for deep color. We are working towards more carrot-tail in this line. We are also working to intensify the darker orange head markings that some Bright Bell exhibit. We're seeing great results with the Bright-Line Bell Engimas (see below). We're excited about some new crosses this season also...stay tuned."
●ブラックウォーター/Black Water
Didiegecko AFTより出典 - 2020年の個体
作出者:Didiegecko AFT - Lydie Verger氏 / 不明
体色と模様に影響を与えるラインで、レインウォーターアルビノが含まれます。
ブラックウォーターはMandarine Tangerine, Black Night, Rainwater Albino等を用いて選別交配が行われたラインです。
●マグマプロジェクトレインウォーター/Magma Project Rainwater
Ramsey's Reptilesより出典 - 2019年の個体
作出者:Ramsey's Reptiles - Chad Ramsey氏 / 2019年頃(未確定)
体色と模様に影響を与えるラインで、レインウォーターアルビノが含まれます。
近年発表されたラインであり、マグマプロジェクトレインウォーターについてのインフォーメーションが存在しない事から、本ラインの方向性については定かではありません。
2019年5月28日に"Jungle Rainwater"の表記で紹介された個体が、同年7月2日に"Magma project rainwater"として紹介されている点や、Instagramのコメント上で「Magma project rainwaterとは何か?」という質問に対しても"Jungle Rainwater"であると答えている点から、本質的には本家Ramsey's Repilesが取り組んでいたボールドレインウォーターアルビノ群の延長にあるラインであると考えられます。
又、現状では表記に揺れがあり"Magma Rainwater"や"Magma line Rainwater"とも呼称されます。
●MTNDダークプロジェクト/MTND Dark Project(Mandarin Tangerine Noir Desir Project)
CoolLizard.comより出典 - 2018年のMTND Dark Project het Tremperの個体
作出者:CoolLizard.com- Fran Lhotka氏
体色に影響を与えるラインで、NDBEやエニグマが含まれます。
MTNDダークプロジェクトについてのインフォメーションが存在しない事から、本ラインの方向性については定かではありません。
CoolLizard.comより出典 - 2014年のDark Mandarine Tangerine Superblood Cross het NDBEの個体
CoolLizard.comによりDark ProjectやDark Tangerine等の呼称が使われ始めたのは2013年頃であり、Mandarin TangerineやSuperBloodと交配が行われている様子が確認出来ます。
これらの個体群がMTNDダークプロジェクトの前身である可能性は高いと考えます。
CoolLizard.comより出典 - 2019年のMTND Enigma Dark Project het Tremperの個体
本家CoolLizard.comによりヘテロ トレンパーアルビノと表記される個体を確認する事が出来ます。
その事から、意図せず上記のベースモルフを含んでいる可能性を留意する必要があります。
◆メラニスティック/Melanistic
Alex Hue Reptilesより出典 - 2006年のHyper Melanisticの個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
体色と模様に変化が加わった個体に対する呼称で、全身が黒味がかる事が特徴です。
突発的な個体を含め、メラニスティックの表現は少なくとも2000年頃には存在していました。
黎明期の定義としては
Melanistic = 全身が黒一色である。
Hyper Melanistic = 体色が暗く、濃い黒色をしている。
でありましたが、この呼び分けについてはあまり定着せず、現在ではメラニスティックに統一されています。
突発的な個体の出現は多かったものの遺伝性が悪く、近年ブラックナイトを筆頭にようやく表現の固定化が進みました。
発展の最中にあるメラニスティックは、更にベースモルフやラインを組み合わせる交配も注目を集めています。
GK Companyより出典 - 2020年の"Blanc-Noir"(Melanistic Mack Super Snow)
スーパーマックスノーをメラニスティック化した個体や
MARUより出典 - 2019年のMelanistic Murphy Patternlessの個体
マーフィーパターンレスをメラニスティック化した個体
The Urban Geckoより出典 - 2019年のBlack Night Mandarin Tangerine NDBEの個体
タンジェリンをメラニスティック化した個体等が確認できます。
その他の組み合わせも確認出来ますが、いずれも突発的に発生した一点モノの個体である場合が多く、表現の固定化については遠い状態です。
選別交配により、多くのラインが作出されています。
Source1:MelanisticとHyper Melanisticで呼称が使い分けられた様子
・メラニスティックのグループに含まれるライン
【カーボン/Carbon(2012年に国内で流通したブラックスターはこのラインです)、チャコール/Charcoal、ブラックナイト/Black Night、ブラックパール/Black Pearl、ブラックベルベット/Black Velvet】
本記事の容量が大きくなり過ぎてしまい、一部の環境において読み込みの不具合を確認しました。
記事容量を軽くする為、上記のメラニスティックのグループに含まれるラインについては、以下記事に分割して解説を行っています。
以上、メラニスティックについて
●ラヴァブラックナイト/Lava Black Night
Xtreme Exoticsより出典 - 2022年の個体
体色と模様に影響を与えるラインで、トレンパーアルビノが含まれます。
ラヴァブラックナイトは、Mandarin Tangerine, Black Night, Tremper Albinoを用いて選別交配が行われたラインであると解説されます。
●ラヴァ ライン ファイアウォーター/Lava line Firewater
HD Herpより出典 - 2011年の"Lava"(Bryan Jett氏による写真)
作出者:Jett Exotics - Bryan Jett氏 / 2010年
体色と模様に影響を与えるラインで、レインウォーターアルビノが含まれます。
ラヴァ ライン ファイアウォーターはH.I.S.Sが所有するHot Gecko Tangerine het RainwaterのオスとJett Exoticsが所有するFirewater(Hot Geckoによる販売個体)のメスより得られた"Lava"と名付けられたオス個体を用いて2010年にスタートしたラインです。
本ラインを純粋なファイアウォーター内での派生ラインと捉えるか、構成要素にファイアウォーターを含むだけの別ラインと捉えるかについては十分に検討する必要があります。
HD Herpより出典 - 2014年のHot Gecko Tangerine het Rainwaterの個体(Kelli Hammack氏による写真)
まず第一に、本ラインの作出に関わったH.I.S.SとJett Exoticsは、Firewaterを用いたクロス個体に対しても"Firewater"の呼称を用いてきた背景があります。(詳細についてはFirewaterの項にて)
その上で、H.I.S.Sが使用したHot Gecko Tangerine het Rainwaterのメスの出自が不明であるという点がネックになります。
FirewaterとHot Gecko Tangerineは、本家Hot Geckoにおいて並行ラインの関係にありました。そして、同社による販売個体の中には"Hot Gecko Tangerine het Firewater※"という表記の個体も存在しています。
※Firewaterはライン名である為、ヘテロ表記に用いる事はあまり望ましくありません。
しかしながらH.I.S.Sの所有するHot Gecko Tangerineのヘテロ表記は『het Firewater』ではなく、『het Rainwater』となっています。
つまりH.I.S.Sが用いたメス個体が、本家Hot Geckoによる繁殖個体(Hot Gecko Tangerine het Firewater)なのであればLava line Firewaterは純粋なFirewaterであり、H.I.S.Sによる繁殖個体なのであればLava line Firewaterは純粋なFirewaterではない可能性が高くなります。
この疑問に対する答えを持つはずのJett ExoticsとH.I.S.Sは既に廃業しており、真実を確認する事が出来ません。
少なくともこのLava line Firewaterについて、今回は
1.本家Hot Geckoにより正式にJett ExoticsをFirewaterの後継者として選出した訳では無い点
2.血統の純粋性について疑問が残る点
上記の2点から、Jett Exoticsによるオリジナルのラインとして捉えます。
Firewaterとして純粋であるのか?という疑問については、一度保留します。
既に本家が廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。
◆ラプター/R.A.P.T.O.R.
LeopardGecko.comより出典 - 2005年の個体
作出者:LeopardGecko.com - Ron Tremper / 2004年
ラインでは無く、コンボモルフの呼称でエクリプスとトレンパーアルビノが含まれます。
R.A.P.T.O.R.とはRed-eyed Albino Patternless Tremper ORangeの略称です。
ラプターとは本来Ron Tremper氏により作成されたアプターにエクリプスを加えたラインの呼称でしたが、現在ではエクリプスとトレンパーアルビノのコンボモルフに対する呼称であり、血統的定義は無視されます。
LeopardGecko.comより出典 - 2013年のSNOW RAPTORの個体
又、正式名称から「パターンレスでない個体はラプターではない。」と解釈される場合もありますが、ラプターの最初期の定義はあくまでも"Ron Tremper氏によるライン"であり、外見的特徴にはありません。
その為、呼称の定義としてではなく、呼称の由来程度に捉える方が自然です。
実際に同氏による販売個体の中には、パターンレスでない個体が多く存在します。
以下、Ron Tremper氏による解説
"In March 2004 the long-awaited gene for all ruby-red eyes emerged in the new A.P.T.O.R. morph. The exciting R.A.P.T.O.R. is an A.P.T.O.R. expressing the separate gene for red-eyes. R.A.P.T.O.R.S. hatch and retain totally red eyes throughout their lives.
The R.A.P.T.O.R. is the albino expression of the new ECLIPSE mutation, pictured below, (not related genetically to the Super Snows)."
◆ラベンダーストライプ/Lavender Stripe
JMG Reptileより出典 - 2007年の個体
作出者:JMG Reptile - Jeff Galewood Sr. and Jeff Galewood Jr.親子 / 2003年
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
ラベンダーストライプとは本来JMG Reptilesにより作成されたラインの呼称でしたが、現在では外見的特徴に対する呼称であり、血統的定義は無視されます。
背中にラベンダーのストライプ模様を持つ個体群をラベンダーストライプと呼びます。
前述の通り、現在では血統的定義が無視される事から余談となりますが、オリジナルはJMG Reptlesによりアウトクロスが行われたレッドストライプの血統から2003年に突発的に誕生したオス個体です。
その後選別交配が行われ、2005年にはある程度の形になっていた事が記録されています。
"以下、JMG ReptilesによるLavender Stripeに関する記述
Lavender and Lavender Red Stripes
In 2003 we produced a very odd looking stripe from our out bred red stripe blood line. He had a very bright yellow background color and intense lavender following down his bold stripe. The lavender never faded away and he kept all of his brilliant colors into adult hood. We decided to pair him up with a female that was also produced in 2003. She also displayed bright yellow coloration and a good amount of lavender running down her stripe. She is over two years old and since then her yellow has faded out but she still has a good amount of lavender running down her bold stripe. We have been line breeding lavender stripes produced from the origianl pair since 2004 and we now have stripes that are very high contrast and they keep most of their lavender into adult hood. In 2006 we produced over twenty lavender stripes and we kept them all back and raised them to ten months old before we sold them. At nine months old they were all over 45 grams and they all had a considerable amount of lavender, very few of them lost a lot of lavender and the ones that did lose more lavender than the others never completely lost all of it. Our five best looking lavender stripes from 2005 have been bred two years in a row now and they still have a lot of lavender and they are also high contrast and many people that see them say they can't beleived that they are as old as they are."
●ラベンダーベルアルビノ(ブルーベルプロジェクト)/Lavender Bell Albino(Blue Bell project)
Luxurious Leopardsより出典 - 2012年のLavender Bell Albinoの個体(Bright Albinoによる販売個体)
体色に影響を与えるラインで、ベルアルビノが含まれます。
このラインの最終的な目的はラベンダーの面積を増やし、黄色の面積を減らし、フルラベンダーのベルアルビノ(Paul Allen氏はこのゴールを“high-blue”と定義していました)を作出する事にありました。
残念ながらこのラインは完成する前に本家が廃業しており、途中経過の個体群が"Lavender Bell Albino Paul Allen Line"等の名称で流通しています。
Geckoboaより出典 - 2018年の純粋なLavender Gem Snow Bell Het Eclipse Paul Allen lineの個体(本家繁殖個体ではない)
又、流通背景をみる限りでは、後期の個体にはGem スノーやエクリプスも組み込まれていた事が伺えますが、Paul Allen氏によるinfoや販売記録が見つけられなかった為に保留します。
既に本家が廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。
"以下、Bright AlbinoによるLavender Bell Albinos (Blue Bell project)に関する記述
Lavender Bell Albinos (Blue Bell project)
This project has some real potential. Several breeders have worked towards producing lavender/blue leopard geckos…and many are still at it. In my opinion, Bell Albinos display an unusual amount of lavender that can and often does remain nice and light blue until adulthood. We are selectively breeding for less and less yellow…and more and more lavender. So far, we have seen some good progress! Our goal is to eventually produce an all lavender Bell Albino or “high-blue” Bell Albino."
◆リバースストライプ/Reverse Stripe
Geckos Etc. Herpetocultureより出典 - 2016年の個体
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
模様に変化が加わった個体に対する呼称で、背中に一本のストライプ模様が入る事が特徴です。
リバースストライプはエクリプスやサイファー等のいくつかのベースモルフとリンクしている事が知られておりますが、この表現そのものはこれらのベースモルフ誕生前から存在しています。
LeopardGecko.comより出典 - 1999年の個体
古くは"Reverse Stripe Phase"の呼称で同様の表現の個体が流通しました。
細かく紐解いて考えるのであれば、現在は血統的定義が失われ表現のみに対する呼称となったいくつかのラインと同じく、リバースストライプについても作出者が存在するのかも知れません。
1999年時点のRon Tremper氏のHP上で、既に$200という安価な値段で販売されている事からも、もしオリジナルのラインが存在するとしてもかなり古いラインであると考えられます。
現時点ではその情報が発見出来なかった為、この模索については一度保留します。いずれにせよ、現在では表現に対する呼称であり、血統的な定義は考慮されません。
●レイニングトルネード/Raining Tornado
The Urban Geckoより出典 - 2019年の個体
作出者:The Urban Gecko - Craig Stewart氏 / 2019年
レイニングトルネードは、The Urban GeckoによるラインであるTangerine Tornadoに、更にレインウォーターアルビノを加えたラインです。
構成要素に含まれるTangerine Tornadoについて、Tremper Albino及びEclipseがヘテロで含まれていたという報告も多く、本ラインも意図せず上記のベースモルフを含んでいる可能性を留意する必要があります。
余談ではありますが、同社の血統管理の体制については、杜撰であるとの指摘が以前から相次いでいます。
●レイニングレッドストライプ/Raining Red Stripe
Letkey's Leosより出典 - 2010年の個体
作出者:Letkey's Leos - Jeremy Letkey氏 / 2004年
体色と模様に影響を与えるラインで、レインウォーターアルビノが含まれます。
Jeremy Letkey氏によりレッドストライプ、ボールドストライプ、レインウォーターアルビノを用いて選別交配が行われたラインであり、「本質的にはレインウォーターアルビノのレッドストライプである。」と語られています。
本家により構成内容や表現についての定義がハッキリとしていますが、本ラインはあくまでラインでありコンボモルフではありません。表現の再現を行った場合、呼称は「レッドストライプレインウォーターアルビノ」等となり、レイニングレッドストライプとはなりません。
既に本家が廃業し純粋な血統は殆ど失われており、本物の入手経路は限られます。
Source1:Raining Red Stripeについて(現在アクセス不可の為以下に原文)
以下、Kyle Johnson氏創設のLeopard Gecko Wiki内でのJeremy Letkey氏による記述
"The Raining Red Stripes were first produced in late 04' and early 05'. I finally decided on a name for the morph in May of 05'. It is a combination morph, created through several years of crossing Rainwater albinos to redstripes and bold stripes. Essentially the Raining Red Stripe is a red striped Rainwater albino. I consider the genetics to be both recessive and linebred. - Jeremy Letkey"
●レインボーストライプ/Rainbow Stripe
A&M Geckosより出典 - 2006年の解説のキャプチャ(Rainbow Stripeの写真を見つけられなかった為)
作出者:A&M Geckos - Alberto and Mary Cadolini夫婦 / 2006年
模様に影響を与えるラインです。
レインボーストライプはストライプやリバースストライプを用いて作出されたラインです。
意図せずエクリプス、トレンパーアルビノ、マックスノーが含まれる可能性が示唆されています。
世界的に流通量の多いラインでありながら、純粋な個体の写真がどうしても見つけられませんでした。
Geckoboaにより本ラインが多くのラインへ影響を与えたと記録され、実際に2007~2010年頃のフォーラム上では盛んにアウトクロスが行われた様子が確認出来ます。
又、原文の解説からは緑色を表現していた事が伺え、エメリンに分類されるべきラインである可能性もあります。
既に本家は廃業しており、本記事の最終更新日までに純粋な血統の現存確認は出来ませんでした。
Source1:Rainbow Stripeについて(General Line Bred or Polygenic Linesの項)
Source2:Rainbow Stripeがアウトクロスされた様子1
Source3:Rainbow Stripeがアウトクロスされた様子2
以下、A&M Geckosによる解説
"The rainbow stripe is not a new morph. We had many different color striped and reverse striped hatching in 2006 and we kept the most weird looking ones to make a small group. These animals may be het albino, het eclipse and maybe some Mack snows in there, in the rainbow stripe I did not check for genetics of each animal but for diversity, as well many of those animals had very nice green hue, lets say some of the breeders are what I wanted to call emerald stripe. The problem with this color is that when the animal goes under stress of breeding usually loses this green hue and this is the reason I do not like to sell the animals as emerald if they cannot keep this color well."
◆レッドストライプ/Red Stripe
JMG Reptilesより出典
作出者:HQ Reptiles - Matt and Susan Charlton夫婦 / 不明
ラインでは無く、特定の表現に対しての総称です。
レッドストライプとは本来HQ Reptilesにより作成されたラインの呼称でありましたが、現在では背中に赤いストライプを持つ個体群の総称となっています。
流通初期の段階で本家HQ Reptilesより導入し、選別交配を行ったJMG Reptilesの販売個体が市場に多く出回った事が確認出来ます。
本来であればこれらの名称を使用するには、純粋な血統である必要があると考えるのが自然ですが、前述の通り血統による定義は殆ど消失した状態です。
当時は血統の保存よりも表現をより良く事が重要視され、混ざり合う中で純粋なラインは失われています。
その為、現在は「レッドストライプ」は外見的特徴に対する呼称となっており、血統的定義は曖昧な状態にあります。
しかしながら、この表現は選別交配によりある程度出現率を制御する事が可能な事も判明しており、ブリーダーの中には"代々この表現を持つラインの個体"と"突発的に同様の表現をした個体"には大きな差があると、警鐘を鳴らす事もあります。
ベビー時の発色が変わり易く化けてしまう点や、生後数年で大きく色褪せる点から、導入には注意が必要です。
以下、JMG ReptilesによるRed Stripeの導入元に関する記述
"Red Stripes
We originally acquired one male and three female red stripes from HQ reptiles in the winter of 2000. Since then we have been selective color breeding and out breeding them for more intense orange, bolder, and cleaner stripes. "
◆ワイルドコートブラッドライン/Wild Caught Bloodline(WCB)
準備中…
より出典 - 年の個体
ワイルドコートブラッドラインは、純粋なEublepharis属に対する総称です。
表記についてのルールは存在せず、Eublepharis Pure Species等と呼称される場合もあります。
これまでに紹介した特定のブリーダーによる特定の血統を示す"ラインの呼称"や"特定の表現に対する総称"とは呼称の趣旨が異なり、品種名ではなく亜種名を示す為の呼称です。
Eublepharis属の亜種名を全て列挙・解説する事は本記事の目的から逸れる為、あくまでも品種改良の進んだ現行のレオパードゲッコーを基準として、ある程度ライン化の行われている亜種群(多くの場合純粋なEublepharis属である事の証明として、来歴がライン名のように扱われます。)のみ解説を行います。
- Eublepharis macularius afghanicus
- Eublepharis macularius fasciolatus
- Eublepharis macularius macularius
- Eublepharis macularius montanus
又、市場流通量も多い上記のEublepharis macularius配下の4亜種について、Geckoboaにより以下のような疑問が投げかけられています。
「現在流通するEublepharis maculariusの亜種はいずれもロカリティ情報を失っており、我々はこれらの正体について確認する事が出来ません。」
このような背景から現在流通するEublepharis maculariusについて、亜種として真にPureであるのかはよく検討する必要があります。
Source1:Eublepharis maculariusについて
・ワイルドコートブラッドラインのグループに含まれるライン
【アヒム ユングファー ライン/Achim Jungfer line、オバケトカゲモドキ/Iranian fat-tailed gecko(Eublepharis angramainyu)、ガボール コーシャ ライン/Gabor Kosa line、Gekko Galaksenライン/Gekko Galaksen line、原種アフガン、バニラプロジェクト/Vanilla Project、BC Reptiles ライン/BC Reptiles line、ワイルドブラッドラインミックスプロジェクト/”Wild Bloodline Mix” Project】
本記事の容量が大きくなり過ぎてしまい、一部の環境において読み込みの不具合を確認しました。
記事容量を軽くする為、上記のワイルドコートブラッドラインのグループに含まれるライン及び亜種については、以下記事に分割して解説を行っています。
以上、WCBについて
以下、更新ログ(直近3件)
2023/11/13
追加項目:豹紋堂's TUGスノーボールド プロジェクト、JEWEL GECKOSライン レインウォーターサングロー、JEWEL GECKOSライン レインウォーターサングローマーフィパターンレス、オルトロス、 PataPataRep’s メラニスティックトレンパー プロジェクト
2023/10/06
追加項目:Monarch Project
2022/06/21
追加項目:The Gecko Gallery line lavender bold
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