ラインの呼称と認知 - ワイルドコートブラッドライン分割用

上記の記事容量が大きくなり過ぎてしまい、一部の環境において読み込みの不具合を確認しました。

記事容量を軽くする為、ワイルドコートブラッドラインのグループに含まれるラインについては、本記事に分割して解説を行います。

尚、最終更新日及び更新ログは親記事である「ラインの呼称と認知」に準じます。  


アヒム ユングファー ライン/Achim Jungfer line

Geckoboaより出典 - 2015年の個体

作出者:Achim Jungfer氏 / 不明

Achim Jungfer lineは純粋なトルクメニスタントカゲモドキ/Eublepharis turcmenicusのラインです。

形式的に「純粋な」と記述しますが、現在流通する全てのEublepharis turcmenicusについてはEublepharis maculariusのいずれかとの交雑個体である疑いが存在しています。

この疑いについての決着はついておらず、完全に否定する事も完全に肯定する事も出来ない状況にあります。

参考として、野生化のEublepharis turcmenicusについては下記リンクの通りです。

本来、生物に備わる生殖隔離機構の兼ね合いから、学術的ではない趣味レベルの繁殖においても種類間やロカリティ間の交雑は推奨されません。

この部分の詳細については、geckoholicによるbreeder.ioにて解説が行われておりますのでご覧下さい。

Source1:Eublepharis turcmenicusについて1

Source2:Eublepharis turcmenicusについて2


オバケトカゲモドキ/Iranian fat-tailed gecko(Eublepharis angramainyu)

Konstantin Komarov氏より出典 - 2019年のFars Province - Kazerunの個体

オバケトカゲモドキについて、今回はWCBの項目に含める形であくまでも簡略に解説を行います。

表題の"オバケトカゲモドキ"とは、ここまで紹介した"ラインの呼称"や"表現に対する総称"ではなく、読んでそのまま"種類名"です。

流通する本種には"イーラム"や"フゼスタン"と言った表記が付随する場合が多く、この呼称について解説を行う為に本項を設けています。

これらの付随する表記もまた、ここまで紹介した"ラインの呼称"や"表現に対する総称"ではなく、"ロカリティの呼称"となります。

本種は流通するEublepharis属において唯一、ロカリティを分けて繁殖を行う事が一般的とされています。

本来、生物に備わる生殖隔離機構の兼ね合いから、学術的ではない趣味レベルの繁殖においても種類間やロカリティ間の交雑は推奨されません。

この部分の詳細については、geckoholicによるbreeder.ioにて解説が行われておりますのでご覧下さい。

現在市場で流通するロカリティは以下の通りです。

  • イーラム州/Ilam Province
  • ケルマンシャー州/Kermanshah Province
  • ファールス州/Fars Province
  • ファールス州 - カズラン/Fars Province - Kazerun
  • フゼスタン州 - チョガ・ザンビール/Khuzestan Province - Chogha Zanbil
  • フゼスタン州 - マスジェデ・ソレイマーン/Khuzestan Province - Masjed Soleyman

尚、上記はあくまでも本種に付随する表記を理解する為に最低限を記載したに過ぎず、実際に流通する個体を見る限りではより細かいロカリティが表記される場合もあります。(例:Ilam Province - Dehloran City等)

多くのラインと共通して、本種についても血統のトレースが可能な個体群の導入が推奨されます。

Source1:Eublepharis angramainyuについて1

Source2:Eublepharis angramainyuについて2


ガボール コーシャ ライン/Gabor Kosa line

Andrej Funk氏より出典 - 2002年の個体

作出者:Andrej Funk氏 / 2002年

Gabor Kosa lineは純粋なEublepharis macularius montanusのラインです。

形式的に「純粋な」と記述しますが、WCB冒頭で解説した通りEublepharis maculariusの多くがロカリティ情報を失っている背景から、亜種として真にPureであるのかはよく検討する必要があります。

スノーのような白い表現をする個体が多い事が特徴の一つです。

白くなるように選別交配が行われたラインと言うよりは、元来白い表現をしたE. m. montanusによりスタートしたラインであり、結果としてスノーに似た個体が出現しやすいラインであると捉える方が自然です。

Geckoboaより出典 - 2015年の個体

幾人かのブリーダーが本ラインを扱いますが、中でもGeckoboaによる個体群はより白く、スノーに似た表現をする個体が多いです。

Source1:Geckoboaによる販売個体


Gekko Galaksenライン/Gekko Galaksen line

Geckoboaより出典 - 2015年の個体

作出者:Gekko Galaksen / 不明

Gekko Galaksen lineは純粋なトルクメニスタントカゲモドキ/Eublepharis turcmenicusのラインです。

形式的に「純粋な」と記述しますが、現在流通する全てのEublepharis turcmenicusについてはEublepharis maculariusのいずれかとの交雑個体である疑いが存在しています。

この疑いについての決着はついておらず、完全に否定する事も完全に肯定する事も出来ない状況にあります。

参考として、野生化のEublepharis turcmenicusについては下記リンクの通りです。

本来、生物に備わる生殖隔離機構の兼ね合いから、学術的ではない趣味レベルの繁殖においても種類間やロカリティ間の交雑は推奨されません。

この部分の詳細については、geckoholicによるbreeder.ioにて解説が行われておりますのでご覧下さい。

Source1:Eublepharis turcmenicusについて1

Source2:Eublepharis turcmenicusについて2


原種アフガン

Artifactより出典 - 2020年の個体(レプレプによる販売個体)

作出者:レプレプ / 2003年

純粋なヒョウモントカゲモドキで、累代数の確認が出来る数少ないラインです。

2003年に国内へ輸入された個体群を親としています。

現在、本ラインについては誤った認知が広がっており注意が必要です。

"アフガン"という呼称から"アフガニクス(Eublepharis macularius afghanicus)"と認知される場合がありますが、これは誤りです。

正確には、純粋なEublepharis maculariusのいずれかであり、正確な分類については不明です。

2003年に国内へ輸入されたヒョウモントカゲモドキは、現地の販売業者が多くの利益を得る為に、一つの地域で採集した個体群に対して全ての亜種名をつけて販売した背景があります。

この虚偽により、2003年に輸入された個体群の正確な分類については完全に分からなくなってしまいました。(そもそもEublepharis maculariusの分類は曖昧な状態にあるという話については、今回は割愛します。)

本ラインはこの時期に"アフガン"の亜種名を与えられた個体群により構成されており、インボイスを守る形で"原種アフガン"という呼称が用いられています。

GeckoBoaより出典 - Eublepharis macularius afghanicusの個体

真に"アフガニクス"として流通する個体群は線が細く、体格が小柄な傾向にあります。

又、他のEublepharis macularius群とはTSD(温度依存性決定)の温度帯が異なる事がブリーダーにより報告されています。

これらの特徴が本ラインとは異なる点から、少なくともEublepharis macularius afghanicusでは無いと考える方が自然でしょう。

本来、世界的な認知としてはアフガン(Afghan)=アフガニクス(Afghanicus)でありますが、国内においてはこれらの背景からアフガン=原種アフガン若しくはE. m. afghanicus、アフガニクス=E. m. afghanicusと分けて考える必要があります。

本ラインの真価は、純粋なヒョウモントカゲモドキでありながら累代数が極めて浅い個体が販売されている点にあり、血の入れ替えにはこれ以上ないラインであると言えます。

Source1:原種アフガンについて


バニラプロジェクト/Vanilla Project

Geckoboaより出典 - 2016年のVanilla Project Montanus X Fascio/Turkの個体

作出者:GeckoBoa - John Scarbrough氏 / 2010年

バニラプロジェクトは、純粋なヒョウモントカゲモドキをミックスしたラインです。

販売個体を見る限りでは、本ラインにはトルクメニスタントカゲモドキ/Eublepharis turcmenicusもミックスされている事が確認出来ます。

隠れヘテロの心配がなく、検証交配や血の入れ替えに安全に用いる事が出来るのが特徴です。

亜種としての純粋性は完全に失われていますが、本ラインの目的はあくまでも既存のレオパに対するリセットボタン的立ち位置にある事からさほど関係ありません。

しかしながら、生物に備わる生殖隔離機構の兼ね合いから、学術的ではない趣味レベルの繁殖においても種類間やロカリティ間の交雑は本来推奨されません。

この部分の詳細については、geckoholicによるbreeder.ioにて解説が行われておりますのでご覧下さい。

Source1:Vanilla Projectについて


BC Reptiles ライン/BC Reptiles line

Geckoboaより出典

作出者:BC Reptiles / 不明

BC Reptiles lineは純粋なEublepharis macularius fasciolatusのラインです。

形式的に「純粋な」と記述しますが、WCB冒頭で解説した通りEublepharis maculariusの多くがロカリティ情報を失っている背景から、亜種として真にPureであるのかはよく検討する必要があります。

本ラインは現在Geckboaにより保存・販売が行われますが、上記の背景が考慮された結果、亜種名としての「Eublepharis macularius fasciolatus」ではなく愛称として「Fascios」の呼称が用いられています。


ワイルドブラッドラインミックスプロジェクト/Wild Bloodline Mix” Project

Geckos Etc. Herpetocultureより出典 - 2021年の”Wild Bloodline Mix” Project E. m. fasciolatus x E. m. maculariusの個体

作出者:Geckos Etc. Herpetoculture - Steve Sykes氏 / 不明

ワイルドブラッドラインミックスプロジェクトは、純粋なヒョウモントカゲモドキをミックスしたラインです。

隠れヘテロの心配がなく、検証交配や血の入れ替えに安全に用いる事が出来るのが特徴です。

亜種としての純粋性は完全に失われていますが、本ラインの目的はあくまでも既存のレオパに対するリセットボタン的立ち位置にある事からさほど関係ありません。

しかしながら、生物に備わる生殖隔離機構の兼ね合いから、学術的ではない趣味レベルの繁殖においても種類間やロカリティ間の交雑は本来推奨されません。

この部分の詳細については、geckoholicによるbreeder.ioにて解説が行われておりますのでご覧下さい。


以上、WCBについて